今季限りで引退、来季からコーチ就任が内定している中日井上一樹外野手(38)が30日、ナゴヤ球場で行われた秋季練習で打撃投手として初登板した。室内練習場で、自身と同じ左投げ左打ちのルーキー野本に向けて約30分間、腕を振った。その直前には野本のティー打撃を見守るなど、精力的に動いた。井上は「指導?

 そんなものじゃないよ。オレが(選手の打撃フォームを)変えたら、みんなから『どうなってんだ』って言われるよ」と笑い飛ばした。

 コントロールは健在だった。井上は90年に中日に入団。5年目に野手転向するまで投手だった。この日もその制球力を駆使して内角球を投げ続けた。「大したことじゃない。(野本は)猫背になっている。(内角の)打てる球も打てなくなってしまうということ。今日はインコースしか投げなかったよ」とその意図を説明した。

 井上の熱意を野本も受け止めた。バットを振り続けて汗だくになった野本は「胸を張れと言われた。そうすればインコースをさばけるようになる」とその意図をしっかりと理解していた。まだ、正式なコーチに就任したわけではない。だが、井上の熱い思いは早くも後輩たちに伝わっている。【桝井聡】

 [2009年10月31日11時4分

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