世界最高額ルーキーに鼻っ柱を折られました…。アリゾナフォール(秋季)リーグに参加し、2日に帰国していた阪神西村憲投手(22)が5日、高知・安芸秋季キャンプに合流した。同リーグでは今年6月の米ドラフト全体1位指名でナショナルズに入団したスティーブン・ストラスバーグ投手(21)の対戦相手となり、160キロの剛速球を見せつけられた。あらためて自身の実力を見つめ直し、現地で学んだ2種類のチェンジアップ習得に挑戦中。速さだけにこだわらず、総合力でプロを生き抜く。

 世界は広かった。160キロの白球が空気を切り裂く。速すぎる…。世界最高額ルーキーの剛速球を目の当たりにし、西村は潔く白旗を上げた。

 「最近ボールのスピードが上がったと勘違いしていたんですが、アメリカには僕以上に速い投手がたくさんいた。自分はキレとコントロールが大事、と再確認できました。感謝です」。

 1年目の今季は1軍6試合に登板。アリゾナ秋季リーグに参加するため、シーズン終了を待たず10月7日に渡米した。同月中旬。スコッツデールの一員として、当初は所属予定だったフェニックスと対戦する。相手マウンドには最速103マイル(約166キロ)を誇るストラスバーグ。今年、米ドラフト全体1位でナショナルズに指名され、ドラフト史上最高契約額となる4年総額約1500万ドル(当時約14億3000万円)を勝ち取った男だった。

 「ブルペンも試合も見た。目の前で100マイル(約160キロ)を投げられて…。打球が前に飛ばない。仲間から『あいつは直球だけじゃなく変化球もすごい』と教えてもらいました」。直球とスライダーだけで3回1/3を2安打無失点。西村の最速は140キロ後半。向上の必要性を痛感した。

 そこで自ら動いた。「投球の幅を広げたかったんで」。カタコトの英語で取材を開始。同僚5、6人から新球チェンジアップの握りを2種類も教わった。「シンカー気味に落ちるサークルチェンジと、真っすぐ落ちる(全指で)グッとつかむボールと」。アリゾナでは4試合登板で勝ち負けはつかず。6回1/3を4失点で防御率5・68に終わったが、得たモノは多かった。

 2日に帰国し、この日のキャンプ合流初日はブルペンで71球。チェンジアップも20球近く試投した。世界最高額ルーキーに鼻っ柱を折られ、自身の持ち味を再認識。アリゾナで手にした収穫は、安芸で自分の糧とする。

 [2009年11月6日11時43分

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