中日吉見一起投手(25)が28日、ナゴヤドームで行われたファン感謝デーで、来季200イニングを投げることを公約に掲げた。今季は1年間先発ローテーションを守り、16勝を挙げて最多勝に輝いた。それでも投球回数はリーグ4位の189回1/3。中日では06年の川上憲伸(現ブレーブス)以来、年間200イニングを記録した投手はおらず、吉見がエース級の活躍でチームでは4年ぶりとなる大台突破を目指す。

 吉見が、集まった3万5500人のファンの前で、でっかい公約をぶちあげた。「(来年は)200イニングを投げます」。景気のいい数字が飛び出すと、スタンドのファンも大喜び。今季16勝を挙げ、開幕からフル回転した最多勝右腕に、大きな拍手が送られた。

 ステージで、司会者から来季の公約を求められ時だった。森野と中田が「優勝します」と声を張り上げ、和田も「日本一になります」と続いた。だが、吉見は違った。ただ1人、個人の目標を具体的な数字で公表。4年ぶりのリーグ優勝を目指すために200イニングの大台突破を自らに課し、ファンの前で公約として掲げてみせたのだ。

 イベント後、取材に応じた吉見は「まあ、あれは適当に言っただけですよ」と、照れ笑いを浮かべながらも「1年間投げることが最低限の目標」ときっぱり。「1年間やっていれば、数字は(増えて)いく。しっかり調整して、1年間投げられるようにしないといけない」と来季を見据えた。

 吉見は今季、チームで唯一、開幕から1シーズン、先発ローテーションを守り、27試合に登板。189回1/3を投げ、16勝7敗、防御率2・00の好成績を残し、最多勝に輝いた。完封はリーグトップタイの4回、完投もリーグ2位タイの5回。まさに投手陣の柱となる活躍だった。だが常々「現状に満足していては成長しない」と口にしており、来年はさらに高い目標に向かって進んでいく。

 今季、200イニングを記録した投手は西武涌井1人だけ。セ・リーグのトップは198回1/3を投げたヤクルト石川で、吉見は189回1/3でリーグ4位。各チームのエースと言われる選手でも、簡単には越えられない壁だ。中日では06年に川上憲伸が達成して以来、200イニングに到達した投手はおらず、来季吉見が達成すれば4年ぶりの快挙となる。

 秋季練習を終え、年内はバラ色のオフが待っているが、気の緩みはない。「来年、1軍にいるっていう保証はない。うちはいいピッチャーが多いので、まずは先発争いに勝ち抜かないと。それからのスタート。しっかりリセットして、いい形でキャンプに入っていければ」。既に頭の中は2010年モード。オフの間にしっかりと体の疲れを取り除き、来季も開幕からフル稼働してみせる。【福岡吉央】

 [2009年11月29日11時27分

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