中日落合博満監督(55)が29日、名古屋市内で行われたOB会総会であいさつし、チームの2大改革をぶち上げた。03年秋の就任以来を総括した上で「1点を守り勝つ野球」に原点回帰する方針を公表。方法論として(1)コーチ陣の意見を吸い上げ、ワンマン体制を脱却すること(2)守備位置を大幅変更することを掲げた。就任7年目の2010年は、変化を恐れずV奪回の難題に挑む。

 落合監督は、球団OB、選手、関係者140人を前に、20分にわたってスピーチした。「2008年に野球が崩れた。ある程度失点を覚悟して打ち勝つ野球をしないといけないとプランを立てた」と反省。中村紀、ウッズらの守備範囲の狭さに目をつぶった上でチームをつくり、今季も立て直し切れなかったことを説明した。その上で「私の性格からして守り勝つ野球をしていかないと」と、就任直後の方針に原点回帰することを宣言した。

 方法論の1つに挙げたのが「オレ流」からの脱却だ。来季からヘッドコーチ、総合コーチのポストを置くことに初めて触れ「私1人の考え方では先に進んでいかないんじゃないかと」と説明。「(コーチ陣が)自分らでどうすべきか話し合うことが今のドラゴンズに必要じゃないか。これを言うと(監督に)怒られる、これを言うとまずいとなりがちになっていた」と続けた。最後の決断は監督が下す大前提のもと「オレ達流」でいく方針を示した。

 徹夜覚悟のコーチミーティングも予告した。就任直後の03年秋、04年春のキャンプに触れ「(午前)3時、4時、5時までの話し合いを毎日やっていた。そこに立ち返って、何が最善か考えながら野球をやっていく」と話した。春季キャンプは午後7時まで続くこともあり、コーチには選手顔負けのハードキャンプとなる。同監督は「新しい指導者を育てる手段でもある」とも話した。

 選手にもメスを入れる。もう1つの改革は守備位置の大幅変更だ。昨年頓挫した荒木、井端の二遊間コンビを再コンバート。「ショート、セカンドは替える予定です。将来的なことを考えるとひっくり返さなければいけない」。昨春キャンプで二塁荒木を遊撃へ、井端を二塁に回したが、井端が右目の故障で3週間離脱。荒木も肩痛で万全でなく、開幕直前に元に戻した。その試みに再び挑む。

 さらに森野からレギュラーをはく奪した。「森野は三塁か一塁か分からない。外野はない。下手ですから」。今季12球団最多の25失策を犯した守備を徹底的に鍛え直すが、だめなら一塁に回す厳しい姿勢。これに伴い、一塁ブランコを外野に回す可能性も示し、左翼和田以外の中堅と右翼はレギュラー白紙と強調した。

 今季は巨人に12ゲーム差の2位に終わり、CSでもたたきのめされた。「去年はセ・リーグのペナントを逃した。ここを第1目標に、この1点に絞ってやる」。変化を恐れず、マンネリ感を完全に吹き飛ばして勝負に出る。【村野

 森】

 [2009年11月30日10時39分

 紙面から]ソーシャルブックマーク