阪神真弓明信監督(56)が代打陣の“仕分け”に取り組む。「左対右」などの慣例や常識にとらわれた今季の代打起用策を反省し、的確な「代打の方程式」を作ると明言した。同監督は11月30日、タイガースGC(兵庫県加東市)で行われたサンテレビのゴルフ大会に参加。桧山、高橋光という左右の代打の切り札と同じ組でラウンドし、来季への青写真を描いた。就任2年目は勝機を逃さないよう、代打の人選や出し所をじっくり見極める。

 蓮舫議員ばりの鋭さで、真弓監督が「代打の常識」を仕分ける。無駄を洗い出し、効果的な代打策を導き出す大事業だ。

 「右投手だから左打者でいいのか」

 「まだ序盤だから切り札を使わなくていいのか」

 やや慣例やセオリーにこだわり過ぎた監督1年目の今季を振り返り、代打起用の見直しを口にした。

 「今年はどうしても先入観というか、右投手だから左というのがあった。もっと細かく、タイプ的にこの投手に合うのは誰かと考えた起用法がいいのではないか。桧山は切り札のイメージで(試合終盤まで)残しすぎたところもある」

 勝負手の代打陣は左が桧山で右が高橋光。今季はこれを相手投手の左右で使い分ける傾向が強かった。あくまでオーソドックスな戦法だった。しかし来季は違う。例えば速球に強い桧山を、巨人の左腕山口にぶつける。山口の速球に対応できれば、左も右も関係はない。「右対左」の常識を越えた「左対左」という策にたどり着いた。

 データにも、とらわれることはない。「代打の対戦打席は少ない。5打数無安打でも、いい当たりが正面を突いたのか、ぼてぼての当たりなのかで違ってくる」。そこでよりどころにするのが、真弓監督を含めた首脳陣の“仕分ける”目だ。

 「打者の特徴、持ち味、それに調子を見て判断したい。試合の状況もある。どこでチャンスが巡ってくるか。順番と言ってはおかしいけど、誰もが自分の出番が分かるくらいの『代打の方程式』を作らないといけない」

 自らも「代打の神様」と呼ばれた時代があった。真弓監督ならではの表現が「方程式」だった。ゲームのヤマ場がどこに来るか。それを読み、怠りなく準備させるのも指揮官の手腕だ。

 本家、民主党の事業仕分けでは1兆円を超える予算の無駄が廃止、削減、見直しされた。城島の加入でベテランの矢野や急成長した狩野も控えるケースが予想される来季のベンチ。きっちり手駒を仕分けて、勝利への無駄を省く。

 [2009年12月1日11時43分

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