中日の左腕、ネルソン・パヤノ投手(27)が今季限りで退団する可能性が出ていることが5日、分かった。本人が「日本には戻らない。来年はアメリカでプレーするつもりだ」と米国復帰を第一に考えている気持ちを明かした。来季年俸で希望額と500万円ほどの開きがあり、いまだ合意に達していない。前日4日にはドラフト6位指名のホンダ・諏訪部貴大投手(21=中越)の獲得を断念したばかり。貴重な中継ぎ左腕も退団するとなれば、来季の落合監督の構想にも早くも狂いが生じる。

 左の中継ぎとして今季34試合に登板し、2勝1敗6ホールド、防御率2・08の成績を残したパヤノの交渉が難航していることが分かった。パヤノ本人が本紙の電話取材に対し「日本には戻らない」と明言。金銭面の溝が埋まらない限り、このまま1年で退団する可能性が出てきた。

 パヤノは11月上旬に母国・ドミニカ共和国に帰国。球団は5万ドル(約450万円)アップの20万ドル(約1800万円)を基本ラインに交渉を進めてきた。パヤノは「日本はシーズンが長いから、もう少し上積みしてほしかった」と主張。最低でも10万ドル(約900万円)のアップを望んでいると見られる。

 中日は近年、ドミニカからハングリー精神のある選手を格安で獲得し、助っ人として起用してきた。だが、活躍した選手でもハングリーさが無くなれば必要としないチーム方針もあり、交渉は平行線をたどった模様。パヤノのもとには中日だけでなく、ロッキーズなど複数のメジャー球団、韓国球団からもオファーがあるという。「まだサインはしていないが、来年はアメリカに行こうと思う」と、米国復帰を第1候補としている。

 決して他球団からのオファーが高額というわけではない。パヤノ自身も「ドラゴンズで1年間野球ができたことには感謝しているし、巨人との優勝争いはいい思い出」と、球団への愛着も口にする。一方で「あんなに長い期間プレーしたのは初めて。1年間やって本当に疲れた」といい、長年プレーしてきた米国マイナーリーグよりも長い拘束期間の違いに不満を覚えているのも事実のようだ。

 中日は現在、森ヘッドコーチがドミニカで新外国人選手を調査中。仮にパヤノが退団となれば、新たに別の投手にオファーを出すことは可能。だが、落合監督は来季もパヤノを戦力として計算している。高橋、小林正とともに左の中継ぎの一角を担っていた助っ人が抜ければ、構想は狂う。諏訪部の指名拒否に続く、予想外の展開。4年ぶりのV奪回を目指すオレ竜が、年明け前から問題にぶち当たった。

 [2009年12月6日12時11分

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