「魔の土曜日」をなくせ!

 阪神真弓明信監督(56)は19日、先発陣全体を底上げしてローテーションの谷間をなくす構想を明かした。今季は先発6番手の登板が多い土曜日の勝率は2割(5勝20敗1分)と極端に低く、同一カード3連勝がわずかに1度だけだった。今季未勝利に終わった上園、石川という若手に発奮を呼びかけ、チームに大型連勝を呼び込むローテーションの構築を目指す。

 ダンディな指揮官が、名優ジョン・トラボルタばりに表情を引き締めた。就任1年目の今季は「サタデー・ナイト・フィーバー」ならぬ「土曜日の憂うつ」に悩まされた。もう、勝てない曜日とはおさらばだ。来季の巻き返しに、谷間のない先発ローテーションづくりを誓った。

 真弓監督

 カードの初戦に勝ちたいのでローテーションでも柱を持っていく。次のカードでもそう。すると2、3戦目に少し谷間とみられる投手が多くなる。実際、谷間という投手がいると勝率は下がる。層の薄さは考えないといけない。

 カード初戦を安藤、能見クラスで取っても、2戦目に星を返されるパターンが多かった。今季ただ一度の同一カード3連勝は7月28~30日横浜戦で、火曜日から木曜日のカード。週末の3連戦は一度も3タテを食らわせることがなかった。特に土曜日のチーム勝率は2割。チーム防御率は4・48。先発に限れば5・29と崩壊は深刻だった。

 「JFK」という終盤の勝ちパターンを解体して臨んだシーズン。先発を強化する狙いは、左腕能見が一本立ちするなど成果が挙がる一方で、勝ちきれない投手も生んでしまった。対策は、先発候補のレベルアップ。特に、伸び悩む若手が殻を破ることだ。

 真弓監督

 チャンスはあったけどつかめない若い投手が多かった。新人王の上園や石川は力があって実績もある投手。本人も納得いかないだろうが、出てきてもらわないと困る。

 プロ1年目に8勝した上園と2勝の石川は、そろって0勝に終わった。石川は開幕ローテーションに入りながら脱落。上園がようやく1軍に加わったのは9月中旬だった。最低でも6人が必要な強固な先発陣に、枠はまだ空いているとムチを入れた。

 真弓監督

 どんなにいい投球をしていてもピンチは2、3度はくる。5回より前のピンチは1点でも少なくでいい。7、8回のピンチは1点もやれない。その踏ん張りを積み重ねていくと財産になる。

 エース級から若手まで、先発全体に「負けない」意識の徹底を植え付けた。来年は魔の曜日を撲滅し、大型連勝でフィーバーする。

 [2009年12月20日12時0分

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