中日チェン・ウェイン投手(24)が来オフ、メジャー各球団の大争奪戦に巻き込まれる可能性が出てきた。米球界関係者が29日、ポスティングシステム(入札制度)による移籍の可能性があるチェンについて「そうなれば複数球団が動くのは確実。各チームの事情によるが、現時点で先発3、4番手の評価」と話した。既にメジャー各球団は水面下で調査を進めており、チェンと中日側の選択次第で激しい獲得競争に発展する。

 米球界関係者がチェンを巡る来オフの争奪戦を大胆予想した。「ポスティングとなれば複数球団が動くのは確実でしょう。球団によって違うが、左で150キロ投げる先発左腕は米球界でも貴重。現時点で先発3、4番手の評価です」。まだ来季は始まっておらず、チェンが移籍するかさえ決まっていないが、複数球団がチェンと球団サイドの決断を待っている状態だという。

 今季もシーズン当初から各球場でメジャーのスカウトがスピードガンを構える姿が目立った。7月17日横浜戦(横浜スタジアム)の投球はヤンキースなど4球団がネット裏で見守った。ある関係者は「今季もチェンの今オフの移籍に備え20球団前後が調査を行った」と証言。日本人の契約スカウトだけでなく、米国人のスカウトとともにクロスチェックする球団もあったという。

 チェンのメジャー移籍は現実味を帯びている。今オフの契約更改交渉では単年契約を結び「日本で長くやるつもりはない。いつかは行きたい」と、初めてメジャー志向を明かした。現状では1軍登録日数が2年69日しかなく、海外移籍が可能となるFA権取得まで最短で7年。球団幹部は「契約が切れた後に自由契約にするという付帯条項をつけていないため、保有権は球団にある」としており、実際に移籍となるとポスティングということになる。本来なら防御率NO・1左腕を手放すのは現実的ではないが、その球団側が、多額の入札金が見込めることを見越してか「話し合います」と柔軟な姿勢を見せているのだ。

 来季も開幕直後からネット裏に複数のメジャースカウトが駆けつける。ブレーブス大屋スカウトは「米国に行く可能性がある選手ということで、他の選手と同様に調査はする」と証言。ヤンキース紀田スカウトは「沖縄の春季キャンプから見に行かせてもらいます。シーズン中も今年と同じように足を運びたい」と話した。2球団以外にも調査を進める球団は多い。チェンと球団が来オフ「ポスティング」の選択肢を選べば、激しい獲得競争に発展するのは確実だ。

 [2009年12月30日10時31分

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