真弓監督をサポートして、常勝球団を築き上げる-。阪神坂井信也オーナー(61=電鉄本社社長)が日刊スポーツのインタビューに応じ、2010年シーズンへの期待と抱負を語った。2年目を迎える真弓明信監督(56)が手腕を発揮できる態勢を整え、昨年の4位からの巻き返しをリード。3連覇中のライバル巨人に対抗し、補強に頼らない常勝球団の構築に意欲をみせた。

 -オフの間に大型補強をして新しいシーズンを迎える

 坂井オーナー

 100%満足することはないし、思わぬ赤星選手の引退など、不足する部分も出てくる。今いる選手が埋めてくれるところがないとね。駒を並べてハイどうぞ、というわけにはいかない。現有戦力の上積みを入れて、やっと巨人の牙城に近づける。外国人選手の場合、向こうの成績をうのみにできない。ファンの方には大丈夫と思っていただきたいが、あくまで我々は慎重に、控えめに見た方がいい。

 -赤星、今岡ら主力がチームを去る

 坂井オーナー

 03年、05年の優勝から支えてくれた功労者。時間の流れで仕方がないけど、新しい選手に頑張ってもらうしかない。巨人でも、ある程度足踏みする時期があって、今、3連覇している。強化を長く続けるには、育成とか、生え抜きの選手を育てるシステムが必要。今年勝とうと思えば、選手をかき集めれば可能かも知れない。ただそれは1年とか半年で息切れする。

 -育成には時間がかかるが、真弓監督は今年は勝ちにこだわると強調する

 坂井オーナー

 4年間優勝していないわけだし、優勝に飢えている。勝つことに力点を置くのはわたしも同じ。ただ昨年は能見君、狩野君、桜井君と育成したというか、若い力を発揮できるようになった。これをもう少し若い年代にもチャンスを与えることになれば。勝ちながら(選手が)育っていくようにならないと困る。

 -昨季中は真弓監督の方針がぶれてないと評価していた

 坂井オーナー

 この5年間、優勝や優勝に近かった。勝ちパターンが出来ていて強かった。ただ出来すぎていたがゆえに疲労などひずみがツケとして出た。やりにくいシーズンだった。全部がなくなれば新しく作ればいいのだが、ほとんど残っているから治すのも難しい。きつい状況から出発して、修正補正して現有の中から新しいパターンを作ろうとした。阪神らしい力もかいま見えた。真弓監督も1年間の経験で新しいチーム構成を作っていける。これからが真弓監督の野球のスタートだ。

 その意味で城島君の加入は大きい。打つ方を期待されるけど、わたしはどちらかというと、捕手という重要なポジションに優れた選手が来てくれて、チームとして芯が通ったことが大きいと見る。03年、05年に優勝できたのも矢野君がどっしり座ってチームの守備を安心させてくれたから。

 -真弓監督は2年契約の2年目になる

 坂井オーナー

 年限のことはそんなに考えていない。最初から何年でもよかったのだが、なるべく早い時期で結果を出さないかんということを期待して2年にした。正直、なかなか2年で結果を出すのは難しい、人の入れ替えもあるし時間がかかる。ぼくの気持ちとしては真弓監督に長く指揮してもらって新しいタイガースを再構築してほしい。ただみんなが結果を求めるチームなのも確か。2年目で勝てないということがないようにサポートしないといけない。そういう話し(契約問題)が出ないようにしたい。成績が悪くなるとどうしてもそうなるが、気持ちの上ではもうちょっと続けてほしい。

 -常勝チームを作るのには編成部などシステムが必要

 坂井オーナー

 今もシステムはあるが、機能しているか、させているかが問題。今の巨人がうまくいっていると言われるが、一部の機能がうまくいき出すとまた違う一部がうまくいくもの。我々も猿まねじゃなく、ひとつひとつ動かしていくことで常に選手を供給し、再生するシステムを作りたい。

 -外国人補強の部門も見直しが要る

 坂井オーナー

 外国人はなかなか難しくて、たくさんの目でたくさん見るしかない。人員を充実させないかんし、結果が出なければ入れ替えないと。原因を分析して替えていかないといけない。それと取る方ではなく、日本野球に選手をどうフィットさせるか、どうフォローしていくかを考えたい。

 -昨年は2年ぶりに観客動員が300万人突破

 坂井オーナー

 お客さんにたくさん来ていただいたけど、満足度を見たらどうかというところはある。以前と比べてナゴヤドームの三塁側で後ろが空いているなとか、東京ドームで巨人ファンと半々だったのが6対4になっているとか。甲子園は筒いっぱいとしても、お客さんが減っている危機感はある。もういっぺん引き締めないといけない。今年はより満足度の高い300万人にしたい。

 [2010年1月1日12時28分

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