阪神に新加入した城島健司捕手(33)が9日、故郷の長崎・佐世保市内で自主トレを開始した。5年ぶりの日本球界で03年に続く2度目の全試合フルイニング出場に照準。同記録は2リーグ分立後の捕手では野村克也氏と城島だけで、2度目となれば初の快挙となる。新鉄人襲名へ、00年シドニー五輪日本代表トレーナー丸尾明教氏と個人トレーナー契約も結んだ。同氏の144試合フル帯同も支えにして球史に名を刻む。

 あのノムさんを超える。城島が、阪神で迎えた10年に向けて故郷で始動。軽めのメニューを終えて「毎年、この時期は全試合全イニングは出たいと思っている。過去(03年)にできたことは今もできる。妥協しないように。競争に勝ち抜いて、それを目標にしたいなと思う」と決意を表明した。

 最大の目標だ。コンタクトプレーもある捕手の年間フルイニング出場は2リーグ分立後では63年の野村氏と03年の城島だけ。他の野手に比べてハードルは圧倒的に高い。しかも2度目の達成となれば野村氏を超える。打撃タイトルへの関心を聞かれて「全試合出るほうが難しい。成績を残せないと全試合には出られない」ときっぱり言った。

 強力なバックアップがある。初日のこの日から元ソフトバンクトレーナーの丸尾氏が指導した。丸尾氏は00年シドニー五輪日本代表トレーナーを務めて経験豊富。城島は、阪神加入にあたって丸尾氏にパーソナルトレーナーを打診して「1年間、結びました」。丸尾氏から遠征も含めて、144試合フル帯同のバックアップを受けることになる。

 03年からダイエー、ソフトバンクで4年間、城島を見てきた丸尾氏は「久しぶりにやらせてもらうので、先入観はなしにしています」。自主トレ中は体幹の強化に重点を置く。城島は「課題をクリアすればおのずと体はできる」と信頼感を口にした。

 新天地でのスタートに向けて「WBC仕上げ」を目指す。「(調整は)去年のイメージです。2年連続でWBCと同じスピードでやっていく」と早仕上げを宣言した。昨季は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に備えて2月下旬に実戦。日本のキャンプインは米国に比べて約2~3週間早いこともあって、世界一に輝いたWBCと同じ調整ペースで満を持してチームに合流する。

 すべては投手との信頼関係を構築するためだ。キャンプ初日の2月1日にブルペン入りする考えで「(ボールを)受けていなくて実戦にいくのは失礼。遠慮するところじゃない」と断言。1軍帯同の投手全員について「受けなきゃいけないでしょうね」と話した。

 「アピールしますよ、ガムシャラに。(真弓)監督の前で素振りをします。課題をクリアして競争に勝ち抜いて開幕の試合に。グラウンドに出れば、当たり前のような顔をして出ていかなくちゃいけない。今日がそのスタート」。虎の城島が、初の快挙を目指して始動した。

 [2010年1月10日12時2分

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