大先輩の指令には最多勝で応えます!

 阪神岩田稔投手(26)が10日、鹿児島県薩摩川内市内で、2年連続でソフトバンク杉内俊哉投手(29)らとの合同自主トレを公開した。同じ左腕で昨季15勝の杉内から初タイトルを期待され、岩田は「最多勝獲得」を約束。現在は腹筋よりさらに深い部分にある筋肉を鍛えるなどブレない体を目指している。個人タイトル奪取を初めて宣言したトラのエース候補が、5年目に大成長を遂げる。

 練習が始まれば目つきが変わった。岩田が杉内に、杉内が岩田に鋭いまなざしを向ける。1年前の初の合同トレ、WBCを経て、強固な絆で結ばれた師弟関係。29歳の師匠は弟子が殻を破る瞬間を待ちわび、26歳の弟子はその期待に応えようと誓いを立てた。

 杉内

 岩田は今年もすごい力のあるボールを投げていた。(タイトルは)かなりのモチベーションになる。2ケタで満足するか、15、16勝で満足するか。彼はそれだけの力を持っている。タイトルを取れば自覚も出てくるだろうし。

 岩田

 やっぱり最多勝を取りたいですね。それが1番チームのためになる。

 リーグ&日本シリーズMVPに最多勝、最優秀防御率に2年連続の最多奪三振、そして沢村賞、昨季は堂々の15勝。数々のタイトルを奪取してきた杉内に刺激を受けて当然だ。説得力抜群の指令に感謝し、岩田が初の個人タイトル奪取を初めて宣言した。

 岩田が志願した合同トレも2年目。今は新しい杉内流トレにも挑戦中だ。下柳も取り入れる「ピラティス」。西洋のヨガと呼ばれるストレッチを中心とした動きで体の奥の筋肉を鍛える運動だ。特に通常の練習で鍛える腹筋よりも、さらに深いおなかのインナーマッスル(深層筋)を鍛えれば、体幹は安定する。

 「杉内さんはどんな練習でスタミナをつけるのか、重点的に学びたかった。杉内さんは基礎の体がしっかりしていてブレない。僕は走ればバランスを崩すし、腰が痛くなる。(その違いが)体幹への力の入れ方だったので(ピラティスを)始めた」。

 毎日20分間、4、5種類のメニューを実施。腹部を引き締めて維持するエクササイズなど、腹圧(おなかの力)を高める練習を続ける。杉内のパーソナルトレーナーを務める河村茂氏(28)から「まだ伸びしろが大きい」と期待され、岩田も「安定したフォームで投げられるようになる」と実感している。

 身長175センチと小柄な杉内は過去5年で4度、190イニング登板を達成。178センチの岩田は大先輩から大きな勇気をもらい、今季は先発陣の柱を狙う。「まずは開幕ローテをしっかり任されて、結果を出してシーズン最後まで投げられるように。200イニングを投げて15勝して優勝したい。7、8個は完投したい」。昨季は16試合でチームトップの4完投。10年は虎の元エース、ヤンキース井川の自己最多8完投に照準を定めた。「自分も責任を背負っている立場。杉内さんに負けないように頑張ります」。師匠に認められた時、岩田が虎の柱になる。【佐井陽介】

 [2010年1月11日11時51分

 紙面から]ソーシャルブックマーク