阪神が今季の交流戦で「輝流(きりゅう)ライン」のユニホームを復活させる方向で調整を進めていることが14日、分かった。76~78年(ビジター用のみ75年から)まで使用されたもので、特徴はパンツのサイドや、腕のすそに入った黒と黄色のギザギザライン。当時は4番に田淵幸一、5番ブリーデンを擁し、193本塁打の破壊力で巨人と互角に渡り合った。城島らが新加入してパワーアップするチームの象徴とする方針だ。

 虎に伝説の「輝流ライン」がよみがえる。阪神は交流戦期間中の本拠地用ユニホームのデザインについて検討を重ね、今季は76年に使用したモデルを基調とすることが最有力になった。ホーム用は白で76~78年に使用されたもの。ビジター用は青で75~78年まで採用された。

 何よりの特徴は黒と黄色でダイヤを連ねたようなギザギザのライン。オールドファンには懐かしい「輝流ライン」の復活だ。球団関係者は「ファンからぜひ、もう1度見たいとの要望が多かった」と、背景には根強い輝流人気があると明かした。

 当時の主なクリーンアップは、4番田淵幸一を中心にブリーデン、ラインバックの大砲トリオで結成。その脇を中村勝広、藤田平の1、2番巧打者コンビが固め、レギュラーをつかんだ掛布雅之が主砲に成長する課程の強力打線だった。

 同年の193本塁打は日本一に輝いた85年の219本塁打に抜かれるまで球団記録。翌77年はチーム23試合連続本塁打の日本記録を樹立した。当時はラッキーゾーンがあったとはいえ、本塁打増を掲げる真弓監督にはぴったりのイメージに彩られた時代だった。

 日本グラフィック・デザイン界の重鎮、永井一正氏がデザインした輝流ラインのユニホームは、赤穂浪士の討ち入り衣装や新撰組の戦闘衣装の「段だら模様」をモチーフにしたと言われる。V9は73年でストップしていたが76、77年に連覇するなど当時の巨人は強かった。現在V3中の強い原巨人を打ち倒す、との思いにも通じる。

 今季は攻守ともにチームの看板となる城島が新加入。金本、新井、鳥谷、ブラゼルらと形成する分厚い打線は、70年代後半、田淵らを中心に形成した強力打線をほうふつさせる。76年、阪神は2位に終わったが最後まで優勝を争った。荒々しくたくましい猛虎よ、もう1度。輝流ライン復活には、昨季4位からの巻き返しを願った強い願いも込められているようだ。

 現在は最終選考の段階。このほかのアイデアとして球団は、真弓監督がクラウンから阪神に移籍した79年から81年まで使用されたバージョンも検討しているが、ファンの声を大事に輝流ライン復活で一本化される見込みだ。交流戦を制せば、よりペナントレースを優位に戦える傾向もあるだけに、ユニホームに込められた思いも熱い。注目のお披露目は交流戦開幕の5月12日、甲子園での日本ハム戦になる。

 [2010年1月15日11時43分

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