<中日8-7広島>◇28日◇ナゴヤドーム

 コイの主砲・栗原健太内野手(28)に待望の今季初アーチが飛び出した。4回、中日の2年目右腕伊藤から左翼席へ先制の2ラン。打線も刺激を受け、07年4月24日以来、丸3年間無失点に抑えられていた中日岩瀬から9回、代打前田智の犠飛で1点をもぎ取った。試合は守備のミスが響いて延長10回サヨナラ負けを喫したが、目覚めた主砲を中心に、30日からの本拠地開幕戦で巻き返す。

 打った瞬間、それとわかる豪快な1発だった。4回1死二塁、カウント2-3から、中日先発伊藤のボール気味のフォークボールをたたいた。打球は広島ファンの待つレフトスタンドへ着弾。先制の今季1号2ランとなった。ゆっくりとベースを1周した栗原は「(伊藤の投げる球が)フォークばかりだったからね。体がうまく反応してくれた」と振り返った。

 27日の試合では左腕チェンに3三振を喫するなど無安打に終わったが、この日は、主砲としての仕事を見事に果たした。

 バッティングについては求道者のような男だ。1日も休むことなく、バットを振る。チーム練習が休みでも、自宅近くを走ったり、バットを手に出かけては振り込む。打撃不振に悩んだ昨季は、ナイター終了後、居残って打ち込んだり、早出特打を繰り返した。

 そんな主砲の1発に触発され、打線も粘りを見せた。5回には相手のミスにつけこみ、東出の同点打や天谷の二ゴロ、フィオの押し出しなどで4点を奪った。6-6同点の9回には、07年4月24日の対戦以来、丸3年、23試合連続で無失点に抑えられていた中日の守護神岩瀬をとらえた。安打、四球に東出の絶妙なバント安打で無死満塁とし、代打前田智の犠飛で4年ぶりの1点を奪っていったんは勝ち越した。

 だが、その裏にミスもからみ同点とされると、10回裏に痛恨のサヨナラ負け。栗原も「勝ちたかった…」と言葉を絞り出した。

 それでも指揮官は前を向く。「前田智も今季初打席でいいところで仕事をしたし、健太(栗原)も打った。チームとしては最高の粘りを見せられたゲームだった。こういう試合を勝って自信をつけないといけない」と言葉に力を込めた。30日からは、マツダスタジアムで本拠地開幕戦を迎える。相手は城島が加わった阪神。コイの主砲に率いられた広島打線が、自分の庭で大暴れしてみせる。【高垣誠】

 [2010年3月29日11時35分

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