靴ひもと気持ちを締め直して!?

 今季初勝利だ!

 中日吉見一起投手(25)は30日からのヤクルト3連戦(神宮)の3戦目(4月1日)の先発が予想される。開幕投手を務めた26日広島戦ではマウンドでの投球練習1球目でスパイクのひもが切れていたことを明かし、2戦目は新しいひもでのリベンジを誓った。

 吉見にとって文字通り仕切り直しの試合だ。開幕戦で敗戦投手となってから中5日、ヤクルト3戦目での先発が予想される。29日は他の投手陣とともにナゴヤドームでランニング、キャッチボールなどで調整。表情は引き締まっていた。

 実はプロ初めての大役を務めた26日広島戦で少し後悔したことがあった。「投球練習の1球目を投げた時に切れたのがわかったんです。『嫌だな』と思ったまま試合に入ってしまって、先頭打者に打たれて『やっぱりな』とずるずるいってしまった。あの時は時間がなくて(ひもを)変えられなかった。今思えば、試合途中で変えてもよかったかなと…」。

 試合開始直前、マウンドでの投球練習の1球目を投げたところでスパイクのひもが切れた。10年最初の投球を不吉な予感を抱き、そのままゲームに入ってしまった。結局、初回に先頭打者東出にヒットを許したのをきっかけに2点を失った。致命傷となった立ち上がりの失点は思わぬ不運と、それに左右された心理面の影響もあった。

 バンクーバー五輪では男子フィギュアスケートの織田信成選手がフリーの演技中に靴ひもが切れるアクシデントに見舞われた。吉見も今回の件で勝負の怖さ、準備の大切さを痛いほど知った。織田選手は4年待たなくてはならないが、幸いにも吉見にはリベンジの舞台が用意されている。

 また、神宮には因縁もある。09年10月11日のリーグ最終戦、単独最多勝となる17勝目をかけた吉見は4回登板して3回を無失点。3-1とリードして降板したが、直後の7回に山井がデントナに左翼ポール際へ逆転2ラン。中日ベンチはこれがファウルではないか猛抗議、ベンチにいた吉見も懸命にアピールしたが、判定は覆らず、結局、落合監督が退場となって試合にも敗れるという後味の悪い結末となってしまった。

 「開幕戦はかなり肉体的にも精神的にも疲れました。でも、次の登板が決まったのですっきりしました。切り替えていきます」。新しい靴ひもを結び直した吉見にとって、次戦こそ本当の開幕マウンド。因縁の神宮で今季初勝利をつかみにいく。【鈴木忠平】

 [2010年3月30日10時10分

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