<ヤクルト13-12横浜>◇3日◇神宮

 横浜の守護神山口俊投手(22)は、ぼうぜんと打球を見上げた。最大4点差を逆転し、12-11で迎えた9回2死三塁。真ん中高めの155キロも通じなかった。ヤクルト川本に代打逆転サヨナラ本塁打を浴びた。「自信を持っている球なので。でも、打たれてしまったので…。野手が頑張ってくれて、落としてはいけないゲーム。悔しいです」と、目に涙をためて振り返った。

 150キロ超の直球を4球続けたが、この日最速のボールを軽々と左翼席に運ばれた。走者が三塁にいる状況で、暴投の危険性がある変化球を避けたのだろうが、直球に強い川本に対しては単調だったことは否めない。捕手橋本は無言を貫き、配球について聞かれた尾花監督は「分からん。オレには分からん」と、ぶぜんとした表情。9回までに22安打を放ちながら敗れたのは、プロ野球初の珍事。粘っての逆転劇が、土壇場で悪夢の悲劇に変わった。「野手がこれだけ頑張っているのだから、投手と野手の信頼関係をなくすことが、一番危惧(きぐ)するところ」と吐き捨てるように言った。

 1回に5連打で3点先制も、その裏に先発藤江が7点を奪われて逆転された。それでもコツコツと反撃。7回には藤田の適時打で、ついに再逆転に成功していた。ヒーローになり損ねた藤田が「打者は打者の仕事をするだけ。結果は仕方ない」と言えば、同点打の下園は「さすがにこの結果はきついっす」とうなだれた。

 6敗中、逆転負けが4度。投手陣再建が急務だが、勝利の方程式がつくれない。【斎藤直樹】

 [2010年4月4日9時51分

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