左足をグッと上げる。右足で1本立ちしてから、リリースポイントでしっかり球に重心が乗るように右腕を振りおろす。ソフトバンク馬原孝浩投手(28)の投球フォームは、どこか現巨人の豊田に似ている。それも、そのはず。原点は豊田のフォームなのだから。

 馬原

 先発をやっていた時ですか。学さん(現斉藤2軍投手コーチ、当時1軍コーチ)に言われたんですよ。『豊田のフォームをよく見ておけ』と。それで、ずっと豊田さんの投げ方を見ていました。

 その言葉を伝えられたのは、05年4月24日のこと。その日、馬原は当時のインボイス西武球場で西武戦に先発。だが、結果は散々だった。5回8安打3四球で5失点。そのまま馬原は、三塁側ブルペンに向かった。屈辱感を胸に、馬原は1点を見つめていた。視線の先に、一塁側ブルペンで準備を始めた豊田がいた。

 馬原

 今になって、学さんの言葉の意味が分かってきたかなと思います。流れるようなフォームではなくて、1本立ちするところは豊田さんと一緒ですよね。

 馬原はその西武戦から1週間後のロッテ戦でも先発して負けた。待っていたのは配置転換。交流戦から抑え転向で、守護神の歩みが始まった。そこから、6年目で通算135セーブ。豊田も西武時代に足かけ6年で135Sに到達している。パ・リーグの歴史に残る2人のストッパー。フォームだけでなく、足取りが似ているのは、偶然だろうか。

 [2010年4月22日11時15分

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