<中日3-4西武>◇7日◇ナゴヤドーム

 みるみると表情が曇っていった。中日の守護神岩瀬仁紀投手(35)がプロ通算250セーブ達成目前で、まさかの3失点。西武に逆転を許すと、引きつった顔でホームベースをぼうぜんと見つめた。「すべてにおいて申し訳ない。ここまで来て(記録を)意識しないかといえば、それは意識する。でも、終わったことは取り返しがつかない。次、やるしかない」と声を絞り出した。

 2点リードの9回。偉業達成を待ち望むスタンドの大歓声を受けてマウンドに向かった。だが、先頭の片岡、代打中村に連打を浴びると、中島に四球を与え、無死満塁のピンチ。そして1死から高山に同点となる左前2点適時打を浴び、さらに石井義にも勝ち越しを許す左前適時打。スタンドでは両親も見守っていたが、期待に応えることはできなかった。

 09年8月22日の横浜戦(ナゴヤドーム)以来となる黒星。チームとしても痛い逆転負けで、首位巨人とのゲーム差は今季最多タイの6・5に広がった。

 それでも落合監督は、開幕からここまでチームを支えてきた守護神をかばった。「緊張?

 そうでもないんじゃない。今まで浅尾、高橋、岩瀬で守ってきた。その中の2人が4点取られたって、それは仕方ない。そうやってずっとゲームを作ってきたわけだから」。1試合救援に失敗しても、ここまでリーグトップの15セーブを挙げてきた岩瀬への信頼は変わらない。

 記録達成は9日の楽天戦(Kスタ宮城)以降に持ち越されたが、もう同じ失敗は繰り返さない。次こそ試合の最後を締めくくり、プロ3人目の偉業を達成してみせる。【福岡吉央】

 [2010年6月8日12時16分

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