阪神矢野燿大捕手(41)が8日、志願して2軍降格となった。08年オフに手術した右ひじの痛みが数日前から悪化したもので「チームに迷惑をかける」と決断。7日ソフトバンク戦(甲子園)後の深夜、首脳陣に申し出て了承された。城島の加入で出番が激減した「修行の年」。矢野がさらなる試練にさらされた。

 「1カ月半ぐらい調子が悪かったけどここ2、3日さらによくなかった。盗塁されて投げられませんでしたではみんなに迷惑がかかる」。鳴尾浜の施設で治療を終え、厳しい表情で明かした。痛み止めの注射を打ちながらプレーしてきたが、5月8日の広島戦を最後に出番はなし。ここ数日はキャッチボールに激痛を伴っていた。何も言わなければ1軍に残れた。だがチームを思う男らしく、ここが“引き際”と意を決した。

 近日中に病院で精密検査を受けるが、当面は無期限ノースローで、前半戦の復帰は絶望視される。「こうやっていけば良くなるという感触がないのが続いている…」。自身が感じる回復状況や12月で42歳になる年齢を考えれば、復帰への道のりは険しい。再手術を受ければ復帰までさらに1年を要し、来季契約の保証もない。だが引退ピンチの話題は強い口調で否定した。

 「9月なら判断せなあかんかも知れんけど、まだ6月やないか!」。心まで折れてはいない。「(もう1度)グラウンドでキャッチャーとして守りたい。守ってるおれを見たいと思ってくれるファンも多いと思う。そういう姿を見せられるように何とか頑張りたい」。熱い言葉に復活への思いがあふれ出た。捕手矢野としてマスクを被る日を信じ、修行の場を鳴尾浜に移す。【松井清員】

 [2010年6月9日11時53分

 紙面から]ソーシャルブックマーク