アニキの名前がギネスブックに刻まれる。阪神金本知憲外野手(42)の1492試合連続フルイニング出場記録が15日、ギネス世界記録に正式に認定された。ギネス・ワールド・レコーズ社からの連絡を球団が発表。29日に甲子園球場で中日戦前に認定証授与式が行われる。現在も右肩に不安を抱え、18日から再開されるリーグ戦での「フルイニング」出場には慎重な構えだが、完全復活を目指すアニキに燃える材料が届いた。

 正真正銘の世界一、ギネス掲載にアニキ節は全快だった。練習終了後。総勢50人を越す報道陣を前に、記念の記者会見が行われた。さまざまな分野で、世界一の記録を作った人しか踏み入ることのできない“聖域”。率直な感想を問われた金本は「とりあえず、下柳が結婚してよかったです」と前日14日に結婚を発表した同い年左腕への“祝辞”から、爆笑会見をスタートさせた。

 続けざまにギネス記録のイメージを聞かれ「うーん、すごいことだとは思う。何分以内に卵を何個食べたりとか、綱渡りをしたとか。すごい面白いマニアックな記録とか、驚くことをするというイメージかな。野球とギネス記録が結び付かないイメージがあった」と普段、グラウンドでは見られない柔和な笑みを浮かべながら話した。

 99年7月にスタートした不滅の大記録。過去には左手首の骨折、左ひざの半月板損傷、07、08年オフには2度に渡る左ひざ手術と何度もアクシデントに見舞われた。だが、右肩痛で先発を外れた今年4月18日の横浜戦まで、金本は1日たりとも体を休めなかった。その最大の理由とは何だったのか。核心を問われると「毎年、毎試合、勝つためにグラウンドに立っていたいという思い。ホント、あっという間でしたね」と振り返った。

 支えてくれた周囲への感謝も忘れない。「(記録達成は)運がよかったから」と謙遜(けんそん)しながら「普通の選手なら休むようなケガでも、トレーナー方の支えもあり、ずっと使い続けてくれた監督や首脳陣のおかげですね」と話した。野球に対して真摯(しんし)に取り組んだからこそ、1492試合連続フルイニング出場という金字塔を打ち立てられた。

 18日にリーグ戦が再開する。交流戦では敵地で指名打者として先発出場してきたが、現在も右肩の状態が万全でなく、リーグ再開後は代打での出場が濃厚だ。金本本人があらためて「1日も早く、1試合でも早く、明日にでも守備に就きたいという思いはあるが、林(威助)ちゃんも調子よくて、ゆっくりしてくださいということなので、もう少し時間がかかるかなと思います」と慎重に話した。「4番左翼金本」の完全復活はまだ先だが、ギネス入りをはずみに、上昇カーブを描きたいところだ。

 [2010年6月16日11時37分

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