<ヤクルト4-11阪神>◇18日◇神宮

 首位打者マット・マートン外野手(29)が、逆転のラッキーセブンを豪快アーチで締めくくった。併殺を含む3打席ノーヒットで迎えた7回、弾丸ライナーで中堅右に10号2ランを運んだ。30発のブラゼルとあわせ虎の助っ人2人が2ケタ本塁打をマークするのは、99年ジョンソン(20本)ブロワーズ(10本)以来、11年ぶり。8回には、城島が2戦連発17号ソロで今季のチーム本塁打は、100本の大台に乗った。

 神宮の杜が逆転勝利の余韻に浸る。黄色く染まった三塁側内野席が、大声援で赤毛の助っ人を待ち受けた。マートンはニコニコ顔で右手を振った。この夜もヒーロー。まるで当たり前のように、快音を鳴り響かせた。

 2度、ツバメ軍団にトドメを刺した。まずは逆転で2点リードを奪った7回2死二塁、カウント1-2。ヤクルト2番手増渕の失投、高め141キロ直球を逃さなかった。前進守備を取っていた中堅青木のはるか頭上を通過して行く、推定130メートルの右中間2ラン。6月22日広島戦(米子)以来、20試合ぶりの10号で大きな追加点をたたき出す。そして、7-4と3点リードで迎えた9回1死一、三塁からは左翼線二塁打で8点目をゲット。この回4得点を呼び込み、終盤の3打点を満足げに振り返った。

 「どっちの状況でも大きな追加点だったね。でも計11得点とつながったチームの勝利だよ」

 灰色の布当て2枚が安定感をもたらしている。この日も履いたビジター用ズボンには、ミシンの縫い跡が残る。右太もも裏と右ひざには、プロ野球選手のユニホームには似合わない布当てが施されている。何故、新品を用意しないのか?

 もちろん、理由はある。「ひざも太ももも試合中に破れてしまってね。でも、このサイズが気に入っているから、どうしても替えたくなくて、開幕から同じモノを使っている。このフィット感を大事にしているんだ」。同じサイズの新品を頼んで、ほんの少しの違和感も感じたくない。妥協なき戦闘服に身を包み、気分よく活躍を続けている。

 マルチ安打で打率3割5分9厘、127安打はリーグトップを快走中。年間223安打ペースで虎を勝利に導き、本塁打数も2ケタに乗せた。ブラゼルはすでに30発を放っており、虎助っ人2選手の10発超えは99年ジョンソン(20本)、ブロワーズ(10本)以来、11年ぶり。「2人だけじゃなく、チーム全体としても機能しているね」。確かな手ごたえに思わずニッコリ。恐るべし、2010年の虎助っ人コンビ。球史に名を残すスピードで走り続けている。

 [2010年7月19日12時23分

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