<西武4-3ソフトバンク>◇18日◇西武ドーム

 ゲリラ豪雨にも負けず、西武石井一久投手(36)が約2カ月ぶりの1軍復帰戦を飾った。試合開始直後に襲った落雷と大雨の影響で、西武ドームの屋根とスタンドの間から何度も雷光が見え、ごう音が鳴り響く。悪条件も重なった課題の立ち上がりを最少失点でしのぐと、7回途中まで3失点。毎回10安打を浴びても無四球で粘り「調子うんぬんじゃなく、結果を求められたのでよかった」。故障明けの影響を感じさせない力投が光った。

 計画的なリハビリで、早期復帰を実現した。以前から痛みの原因だった左足首の三角骨を削る手術を6月24日に受け、わずか2日間で退院した。「肩を休めたら復帰まで時間がかかる」と、入院直前までキャッチボール。退院3日後には、手術した左足をいすに乗せ、右足だけを踏み出す形でボールを投げた。まだふさがらない傷口からの出血もいとわず、肩の筋力を維持したからこそ、久々の実戦も違和感なく対応できた。

 手術の決断には迷ったが、シーズン中に離脱してまで完治を目指したのは、来季以降の現役続行へ強い決意の表れでもある。迷惑をかけた分、取り戻したい思いは強いが「登板する試合は頑張って、優勝旅行に連れていってもらえる権利ぐらいとりたい」とはぐらかすのも持ち味。お立ち台で恒例となった愛犬報告では「僕ごとですが、もう1匹飼いました。名前はモコです」と爆笑をさらった。

 5月26日阪神戦以来約3カ月ぶりの7勝目。2位ソフトバンクに年間勝ち越しを決め、再び2・5ゲーム差とした渡辺監督は「安心して見ていられた。休養十分でしょ」と勝負の終盤戦への切り札として、さらに期待をかけた。一級品のトークとともに、V奪回に欠かせないローテ左腕が帰ってきた。【柴田猛夫】

 [2010年8月19日11時48分

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