真弓革命だ!

 負の歴史を塗り替える!

 16日にクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ・巨人戦が甲子園で開幕する。日本一に輝いた85年以降、阪神は4度の短期決戦ですべて敗退している。真弓明信監督(57)は「全然気にならんわ!」と過去のマイナスデータを一蹴し、終止符を打つ決意だ。G倒、そして竜倒で、25年ぶりの日本一へ-。真弓阪神がいよいよ出陣する。

 積年の悲劇をぬぐい去るときが来た。16日に開幕するクライマックスシリーズのファーストステージ。相手は巨人、本拠地の甲子園。何かが起きそうな舞台設定だ。自然体の指揮官も声に力がこもった。

 真弓監督

 日本一のチャンスが残っている。そこに向かって、全力で1試合ずつ勝ち抜いていきたい。

 約2時間の最終調整では内外野を歩き回り、選手のコンディションを入念にチェックした。負傷で不安のあった久保も無事に回復。聖地で迎える初のCSへ、準備は万端だ。

 猛虎は徹底的に短期決戦に弱い。日本シリーズを制したのは85年の吉田阪神だけ。常勝軍団へと発展した00年代も“シリーズ”に限れば、結果を残せていない。圧倒的な強さを見せた03年は星野監督の勇退という衝撃ニュースで開幕し、3勝4敗で惜敗した。岡田政権の05年はまさかの4連敗を喫した。

 CSでも壁が破れない。初年度の07年にナゴヤドームで連敗して敗退。岡田監督の辞任に揺れた08年にも、1勝するのが精いっぱいで中日に屈した。いずれもファーストステージを突破できずに、まさに負の遺産。しかし革命家の指揮官はそんなマイナスの過去を吐き捨てるように言った。

 真弓監督

 全然、気にならんわ!

 今回の短期決戦は巨人に勝てば、苦手ナゴヤドームで中日が待っている。難敵の連破は難易度がかなり高い。それでも今年は、負の歴史を塗り替えるチャンスと見て、カツを入れた。

 就任以来、真弓監督は短期決戦を意識した発言を繰り返してきた。それはリーグ制覇だけでなく、日本シリーズをいかに制するかという考えが頭にあったからだ。「どれだけ球際の強さを発揮できるか。それが短期決戦で鍵を握る」。2位に終わった今季は勝負どころで黒星を喫することが多かった。ただ能見の復活を機に先発スタッフを立て直すことができた。投手力、攻撃力で他球団を圧倒できる下地はある。きっかけをつかめば、短期決戦で波に乗る可能性は十分にある。

 真弓監督

 先に点を取って、守り抜く試合がしたい。初回からドンドン攻めていきたい。甲子園で数多く、ファンに試合を見せられるようにがんばりたい。

 積極的な攻撃野球も宣言した。地元の熱狂的なファンの声援は、これ以上ない後押しになる。日本シリーズで再び帰ってくることが最大の目標。短期決戦でどんな戦いを見せるか。まずは初のCS突破。75年の球団史に革命を起こす挑戦でもある。

 [2010年10月16日11時30分

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