150キロでG倒や!

 阪神秋山拓巳投手(19)が21日、西宮・鳴尾浜球場で2年目に向けて始動した。今オフのテーマに5キロの球速アップを掲げ、ライバル巨人への対抗心をむき出しにした。今季は高卒1年目で4勝を挙げたが、プロのレベルの高さを痛感。球団もガードを固める金の卵は、直球に磨きをかけて14勝した久保を参考に飛躍を遂げる。

 19歳の心に宿敵への対抗心が芽生えた。3日間のつかの間の休養を終え、秋山は来季へ向け動き始めた。ユニホームを着てキャッチボールとランニング。CS敗退後、野球中継どころか、スポーツニュースも見ていない。「巨人、巨人って嫌じゃないですか」。プロ初黒星を喫し、チームも引導を渡された相手。シーズン終盤、フル回転した体の疲労が抜けきったわけではない。ただ、ライバルの存在が突き動かした。

 天敵撃破のため、剛球復活に乗り出す。「高校時代は140キロ後半は出ていた。球速アップ?

 4、5キロぐらいは」と球速への未練を語った。

 高校時代は最速150キロの剛腕投手。プロでは制球を重視し、変化球とのコンビネーションで打ち取る“技巧派”へと様変わりした。最速は9月20日巨人戦の145キロ。「スピードとキレのある真っすぐで、空振り、ファウルで追い込むのが理想です」。

 プロの厳しさも知った。「自信を持って強く投げたベストボールでも、簡単に打たれます」。1日広島戦の4回、栗原にあらん限りの140キロ直球を右前に運ばれた。ショックを隠せず4失点。球速だけでなく、直球の質の向上が必要だと実感した。

 お手本がいる。チームの勝ち頭、久保だ。シーズン中から調整法を相談していた先輩。久保は昨オフの自主トレ中に球速アップをテーマとし、自己最多の14勝につなげた。「久保さんは腹筋を鍛えたみたいです。若いのでいっぱい練習します」。体幹強化と体力づくりが今オフの課題だ。

 酸いも甘いも知った1年目。秋山の大きな瞳は、しっかりと2年目を見すえている。【鎌田真一郎】

 [2010年10月22日11時45分

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