横浜の加地隆雄球団社長(69)が28日、秋季練習中の横須賀ベイスターズ総合練習場を訪れ、球団売却問題の事情説明を行った。まずは「あってはならない身売り騒動でお騒がせして申し訳ない」と謝罪。現体制の存続が決まったことでホッとしたのか「サッシを売るのと同じように野球を考えてもらっては困ると思っていた。野球は人がやるということ」とまくし立て、15分間も熱弁を振るった。

 交渉決裂の要因については本拠地問題とし「一番大きな問題は横浜から出したいと言い続けたこと。新潟、草薙、京都という話もあったようです」と説明。改めて地域密着の方針を示し「皆さんも不安を抱えつつで、申し訳ないが、私は守り続けます。地域に根ざした、本当の地元球団をつくりたいと思っているので、力を貸してほしい」と、熱っぽく続けた。

 選手たちの表情も、真剣そのものだった。国内FA権の行使を表明している内川聖一内野手(28)は「親会社、本拠地がどうとかは、僕にとっては関係ない部分もある」と前置きし、「話が少しは進展したと思う。やっとスタートラインに立てた感じはする」と今後の好転を期待した。

 ただ、引き続き球団が不安定な状況下にあるのは間違いない。自身の去就については「僕らが来年のこの時期にこういう話が再燃しないようにするのが大事。そうできるなと見えれば、残留もある。他の球団の話を聞いてみたいというのもある」と慎重に言葉を選んだ。ドラフト会議の終了を受け、球団幹部は「明日(29日)にでも交渉を行いたい」と話した。売却問題が一応の決着をみたことで、FA戦線も一気に進展しそうだ。【鈴木良一】

 [2010年10月29日7時52分

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