阪神の育成枠ロバート・ザラテ投手(23)が13日にも“実戦デビュー”する。西宮・鳴尾浜球場で行われている秋季練習は、11日から実戦形式を組み込む。ザラテは早ければ次クール初日にもシート打撃に登板する。9日、中西2軍投手コーチが「無理をさせる時期じゃないけど、本人が投げると言えば、次のクールで投げないことはない」と語った。

 この日、51球のブルペン投球を行った左腕は「状態次第だね」と、天候や自らの調子次第で登板の可能性をほのめかした。この日は、強風が吹き荒れ、ウオーミングアップは選手全員がウインドブレーカーを着用。自前の道具がそろっていないザラテも、急きょ関係者からジャケットと手袋を借りて寒さをしのいだ。ベネズエラ出身で日本の寒さを苦手とする。実戦デビュー唯一の敵は寒さとも言えるが、同国の大先輩ラミレスの名を聞くと、寒さでゆがんだ表情を変えた。

 笑いながらボールに見立てた左手を、左脇腹に食い込ませた。鋭く内角を攻める意思表示だ。当然、わざとぶつけるようなことはないが、電話でアドバイスをくれる同郷の先輩にも持ち味の「ケンカ投法」を変えるつもりはない。「試合に入れば阪神と巨人の選手。友情とかは関係ない。どんな形でもアウトを取りたい」。153キロの直球と捕手が捕れない七色の変化球に、大胆な内角攻め宣言と期待感は高まる一方。ベールを脱ぐ日が確実に近づいている。【鎌田真一郎】

 [2010年11月10日11時49分

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