ソフトバンク多村仁志外野手(33)が15日にFA宣言することが13日、分かった。関係者の話によると、15日にFA申請書を提出し、都内で心境を語ることを決めたという。これまで球団と複数回交渉を重ねてきたが、多村サイドの要望と球団に開きがあり、FA権行使に至った模様だ。

 球団は今オフのFA戦線での補強対象選手に、1億円規模のインセンティブ契約を導入する方向。多村にも同様に基本年俸は8000万円の現状維持ベースながら、大幅な出来高契約を組み込む提示を示したと思われる。ただ、多村は今季140試合に出場し、打率3割2分4厘、27本塁打、89打点。チーム内では打撃3部門でトップ。リーグ優勝に貢献しながら、基本年俸の上積みがない提示は選手側の要望から、かけ離れているようだ。

 複数年契約についても、両者の意見は一致していない。残留の場合、福岡での家族との同居も視野に入れる多村サイドは複数年の保証を求めるが、球団は否定的。妥協点が探れない中で「他球団の評価を聞きたい」という気持ちに傾いたと見られる。海外FA権を保有しているため、メジャー球団と接触する可能性も出てきた。

 ただ、移籍前提のFA宣言ではない。関係者は「ソフトバンクと交渉は続ける」と明言。ホークスも宣言残留を認める方針で、交渉の窓口を閉ざしていない。それでも、球団にとっては多村流出となれば、右の先発投手を最優先にしてきた補強ポイントの再考も迫られるケースが出てくる。多村の動向が、さらに注目を集めることは間違いない。

 [2010年11月14日11時49分

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