阪神の「ファン感謝デー」が20日に甲子園で行われ、南信男球団社長(55)が異例の謝罪あいさつを行った。あと1勝で5年ぶりのリーグ制覇を逃し「残念ながらまた優勝を逃してしまい、申し訳なく思います」とファンに陳謝した。真弓明信監督(57)も悔しさをあらわにし、V奪還&日本一の実現を誓った。

 ファンとチームが触れあう年に1度の祭典で、球団トップが異例のメッセージを発信した。「感謝デー」の冒頭で、南球団社長が壇上に立った。

 「今年は球団創立75周年という記念の年で是が非でも優勝したい、この場で優勝報告をしたいと思って戦ってきましたが、残念ながらまた優勝を逃してしまい、申し訳なく思います」

 集まった約3万6000人の虎党の前で、あと1勝足りず、2位に終わったことを陳謝した。

 故障者が続出した中で、最後まで優勝争いしたのは評価できる。それでもファンにわびたのは、異例の行動とも言える。一時は首位に立ち、優勝マジックも点灯。5年ぶりリーグ制覇の期待感は高まった。その分、V逸へのショックは大きかった。

 「13ゲームのときも悔しかったけど、今年はめっちゃ悔しかったからね」

 南球団社長の心中には08年の大失速と同等の悔しさがあった。マイクを引き継いだ真弓監督も思いは同じだった。

 「悔しいことに優勝を逃し、しかもクライマックスシリーズでは1勝もできなかった。悔しさだけが残るシーズンになりました」

 悔恨の気持ちを何度も口に出した。来季は現有戦力をベースに再び日本一を狙いに行く決意だ。

 「ただタイガースは優勝できる戦力が整っている。来シーズンはファンの皆さまと一緒に戦って、リーグ優勝、日本一を目指して頑張っていきたいと思います」

 06年から、あと1歩のV逸が続いている。来年こそ悲劇に終止符を-。謝罪あいさつは強い姿勢の表れだった。【田口真一郎】

 [2010年11月21日12時20分

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