横浜が必死の上方修正で森本を口説いた。29日、日本ハムからFA宣言した森本稀哲外野手(29)と横浜市内のホテルでFA交渉を行い、3年契約で総額3億円を超える条件を提示した。当初の2年契約から1年の上乗せ。細川獲得に失敗した苦い経験を受け、上方修正を行った。横浜の期待の大きさに、「びっくりした」と言いながらも、森本の心もぐらついた。

 3年連続最下位の横浜が必死のアプローチで、森本に迫った。初交渉の席で提示したのは3年契約で年俸総額3億円を超える好条件。当初は2年2億円程度とみられていたが、交渉を前に上方修正を行っていた。「自分でもびっくりした。(FAの場合は)2年ぐらいだと思っていたから、3年というのはすごく期待されていると思った」。既に横浜入りが濃厚とされているが、期待の大きさを感じ、森本の心はさらに横浜へと近づいた。

 今オフのFA戦線で、横浜は西武からFA宣言した細川獲得に失敗している。2年契約を提示したが、ライバルのソフトバンクが用意した4年の大型契約によって「正捕手候補」をさらわれた。今オフの補強テーマに掲げるセンターライン強化に向け、森本はどうしても逃せない。下交渉からの上積みについて、佐藤球団常務は「他の例を参考にしたわけではないが、今年のFAは3年とか4年とかが多い。落ち着いてしっかりと軸足を横浜に置いて欲しいという意味での3年です」と説明した。

 慰留している日本ハム以外で、手を挙げているのは横浜だけ。森本は「残留か横浜かの二者択一。常勝チームでやるのか、勝てないチームで自分の力を試すのか、が悩む材料」と言いながらも「自分が来年どうプレーするかという基準の整理はできている。考えをまとめて、1週間以内に答えを出したい」と話した。日本ハムは単年契約で今季の推定年俸8000万円の現状維持程度とみられる。今後も条件の修正を行う考えはなく、条件面で横浜が大きくリードした。佐藤常務も「本人もこの気持ちに応えてくれると思う」と入団を信じて疑っていない。【鈴木良一】

 [2010年11月30日9時2分

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