歴史をつくる最強ボディーだ!

 阪神に入団する新人8選手が5日、西宮市の甲子園で体力測定と施設見学を行った。ドラフト2位の一二三慎太投手(18=東海大相模)が懸垂の項目で、高卒ルーキーでは突出した16回を記録。ずばぬけた身体能力を武器に、球史に残ることを誓った。6日の新人入団発表で、いよいよタテジマに袖を通す。

 一二三が早くも逸材の片りんを見せつけた。甲子園で行われた体力測定。腹筋や背筋、動体視力など基礎体力を調べる10項目で、異彩を放ったものがあった。それは懸垂だ。上体の力強い動きで、16回を計測。この数字は高卒ルーキーでは、傑出した数字だという。

 一二三

 得意だったので、やったらできちゃったという感じです。

 立ち会った続木トレーニングコーチは驚きを隠せなかった。鉄棒にぶら下がって、自分の体を持ち上げるのだから、体重が軽いほうがいい。一二三はガッチリとした自らのボディーを両腕で軽々と上下した。

 続木コーチ

 あの大きな体で16回は大したものだ。85キロあるんだから。上半身の強さが光る。

 阪神に入団した最近10年の中でも、抜群だ。身体能力の高い鳥谷でルーキー時は13回。赤松で18回、田上で16回という記録が残っている。いずれも大卒でどちらかと言えば「軽量級」。一二三のような高卒の大型選手では、異例の結果と言える。

 プロ入り後の目標はズバリ、サイドスローで最速160キロの大台に乗せること。高校生離れした上半身があれば、それも夢ではない。背筋の数値も売り出し中の秋山を20キロを超す180キロ。球団から与えられた筋力強化のメニューを消化する日々で、肉体の進化はまだ始まったばかりだ。

 一二三

 全体的にはまだまだ。これから体幹をもっと鍛えたい。

 準優勝に輝いた今夏の甲子園から、4カ月で再び聖地に帰ってきた。

 一二三

 春夏経験しているけど、グラウンドを見て帰ってきたな、という感じです。ここでやるんだという気持ちになった。

 見学した甲子園歴史館では、自身が所属した東海大相模のユニホームも展示されていた。「阪神でも?」と問われると、鋭い目つきでうなずいた。

 一二三

 それはもちろん、あります。

 近年の高卒ルーキーでは最強の肉体を武器に、高校、そしてプロでも歴史に名を刻む。入団直前に、一二三が早くも大化けを予感させた。【田口真一郎】

 [2010年12月6日10時50分

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