巨人清武英利代表(60)は14日、都内の球団事務所で、来年秋のドラフトで、原監督のおい東海大・菅野智之投手(3年=東海大相模)を1位指名すると公表した。菅野は最速157キロを誇るアマ球界NO・1右腕で、この日行われた巨人のスカウト会議では圧倒的な評価だったという。巨人は菅野サイドへ敬意を示すと同時に、興味を示すメジャー球団をけん制する意図もあって、リスク覚悟で異例の早期公表に踏み切った。

 異例の早期公表だ。来年のドラフト会議に向けた第1回のスカウト会議を終え、清武代表は「菅野君を1位指名することを巨人として決めました。新年早々にもごあいさつに出向きたい」と明言した。昨年のドラフトで長野を1位指名すると公言したのは09年2月5日。年明け前という極めて珍しい時期の公表は、菅野への圧倒的な高評価と、メジャーを含めた他球団をけん制する意図が見える。

 巨人は近年、新人獲得の際に数値評価を導入している。最速157キロの速球に加え、カットボールなど多彩な変化球を操る菅野は、今秋ドラフトでの沢村(中大)大石(早大)と肩を並べるレベルの数値をマークしていたという。この日の会議では約150人の候補がリストアップされたが、評価は断トツ。原監督のおいであることは関係なかったという。清武代表は「結果として原監督のおい、貢さん(東海大系列校野球部総監督、原監督の父)の孫であっただけ」と、実力だけを評価しての1位と強調した。

 早期公表には、選手がけがをした際、指名を回避しにくいというリスクがある。この点について清武代表は「(けがは)すべての選手にあり得る問題。(来年の)8、9月に発表しても入団までにけがをするリスクはある」と話した。「157キロを投げられ、平均(球速)146キロの選手を見つけてこいというのは至難だ」。リスクを冒してでも早期に指名を公表したくなるほど菅野の高い身体能力にほれ込んでいる。

 早くも動きだした来年のドラフト戦線は、投手では菅野のほか、東洋大・藤岡、明大・野村、近大・中後ら豊作が予想される。巨人が菅野の1位指名を決めたことで、各球団の動きにも大きな影響を与えそうだ。【斎藤直樹】

 [2010年12月15日8時41分

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