オレを超えろ!

 ソフトバンク王貞治会長(70)が24日、獲得が決定的なアレックス・カブレラ内野手(39=前オリックス)に対し、自身の日本記録でもあるシーズン55本塁打超えの指令を出した。西武時代の02年、カブレラは55発をマークした実績がある。だれも超えられなかった未到の記録達成へ、大砲のやる気をくすぐり、導火線に着火した。

 そろそろ自分の記録を超える選手が出てきてもいい-。世界の王が、入団が決定的な新助っ人砲に、前人未到の56本塁打達成を期待した。カブレラは、02年に55本塁打を放ち、自らの持つ日本記録に並んだ実績がある。

 王会長

 (カブレラの入団決定に向け)いい方向に近づいていると聞いている。(本塁打の日本記録達成について)常に新しい目標を持って、それを目指してやってほしい。(量産)ペースに乗っていくことだね。

 歴戦のスラッガーたちが挑み、はね返されてきたシーズン56発の“壁”。カブレラ本人も西武時代の02年に王会長が64年に達成した55本塁打を放ち、日本記録に並んだが、乗り越えることはできなかった。

 しかも、飛距離自慢の大砲といえども来年は40歳。今季は25本塁打と、年々本塁打数が減っているのは確かだ。ともにリーグ優勝を目指す“仲間”として新記録挑戦を命じた。自身も40歳シーズンで30発を放っている。

 王会長

 50本を2度、打ったのかな。簡単じゃないのは分かっている。年齢とか、自分の限界をつくるのはよくない。

 ソフトバンクにとっては、待望の長距離砲獲得となる。クライマックスシリーズでは本塁打は0本。リーグ優勝を果たしながら日本シリーズ進出を逃した。新記録達成はもちろん、勝負どころでの1発を期待する。

 王会長

 チームはチームで最後の6試合で長打が少なくなった。そういう部分での切り札にもなりえる存在。(本人も)何をすればいいか分かっているはず。

 02年に本塁打王、06年には100打点で打点王に輝くなど実績十分のカブレラもレギュラーの座が保証されているわけではない。一塁には小久保、松中…

 指名打者にもオーティズ、松中と実力者がひしめく。まずは競争に打ち勝つ。そして、レギュラーをつかめば、新記録に挑んでほしいと願う。

 王会長

 競争は激しくなるけど、常にチャレンジしないと。

 かつては敵だった新助っ人も来季からは同志となる。広いヤフードームでも、1発を量産してほしい。カブレラが記録を更新したあかつきには、優勝もみえてくる。オレを抜け-。「世界の王」が、大砲に最高の発奮材料を与えた。

 [2010年12月25日10時46分

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