ソフトバンクのスカウト陣が地元選手の徹底調査へ本格稼働することが30日、分かった。九州は高校生で好選手がそろっており、注目は最速148キロ右腕で「大嶺2世」こと沖縄・八重山の花城直投手(2年)だ。新体制を束ねる永山勝スカウト部長(54)が来春にも九州・沖縄地方の選手チェック巡りを行い、地元の逸材をもれなくマークする方向だ。

 ソフトバンクが九州密着路線を強めていく。今秋のドラフトで小林至取締役(42)が「同じ評価であれば九州の選手を指名する」と話したように、これまでも地元の有望選手を優先的に獲得してきた。新スカウト体制でも地元ファンに親しまれやすい球団づくりを目指し、九州・沖縄優先の方向性を確認していることが分かった。

 11月に今季までスカウト部長を務めた小川一夫氏(56)が2軍監督に転身した。新スカウト部長に就任した永山勝氏(54)は「(担当スカウトから)いい報告があった選手については、見て回ります」と宣言した。将来チームを背負おう選手を見極めるため、部長自らフットワーク軽く、来春にも九州・沖縄地方の選手チェックを実施する。

 11年秋のドラフトでは九州に好素材がそろっている。最速149キロ右腕の唐津商(佐賀)の北方悠誠投手(2年)や宮崎商の吉田奈緒貴投手(2年)の評判が高い。中でも注目は「大嶺2世」の異名も持つ八重山の怪腕花城だ。

 182センチの長身から最速148キロを誇る直球を武器とする。今夏は抑えとして沖縄県大会で4強入りに貢献。エースとなった今秋は強豪八重山商工に0対1で初戦敗退したが、常時140キロ中盤をたたき出す速球で観客をうならせた。荒削りではあるが、潜在能力とのびしろは十分。すでに担当スカウトがチェックしており、永山部長もマークに乗り出す。

 ソフトバンクは06年の高校生ドラフトで、八重山商工の大嶺と相思相愛とみられる中、ロッテに強行指名から抽選を引き当てられた。熟慮の末にソフトバンク入りをあきらめた右腕には、皮肉にも09年にプロ初完封勝利を含む3勝を献上した。今年4月に対戦7試合目で初めて土をつけたほどで、天敵として苦しめられた。1世だけでなく「大嶺2世」までも他球団に渡すわけにはいかない。地元選手による常勝軍団作りへ、ソフトバンクが準備を着々と進めている。

 [2010年12月31日12時0分

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