日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が11日、詰めかけたファン300人に見守られ、1人で千葉・鎌ケ谷の2軍宿舎「勇翔寮(ゆうしょうりょう)」に入寮した。プロ野球人生のスタート地点となる新居へ、持参した荷物はスーツケースただ1つ。思い出の品は「置いてきた」と、輝かしい実績を残したアマ野球時代とは決別した。心機一転、11年1月11日に「1」からのスタートを切った。

 映画スターのように、斎藤佑はさっそうとタクシーを降りた。一瞬で周囲を支配するシャッター音と歓声、悲鳴。300人のファンに見守られ、上下グレーのスーツに身を包んだ佑ちゃんが、日本ハムドラフト6選手の大トリを飾る形で「勇翔寮」に入寮した。「あらためて、プロ野球選手として、1年目が始まるんだなぁという思いです。ずっと早稲田の寮にいたので、新鮮な気持ちです」。晴れやかな表情で、門出のときを迎えた。

 高校、大学で日本一に輝き、数々の栄光をつかんできたが、過去の自分とは決別する覚悟を決めた。昨年末は「持っている…仲間です」の名言で流行語大賞特別賞を受賞。各イベントにも引っ張りだこだったが「去年はそういうこともあったけど、今年は新人ですので。応援してもらえるようにイチから頑張りたいです」。

 2011年1月11日、くしくも1が5つ並んだ記念の日。生活用品はすでに配送しており、持参した荷物もスーツケースたった1つ。「(1並びは)縁起がいいと思います。荷物は基本的なものしか持ってきていないです。早稲田の思い出の品?

 それは全部置いてきました」。高校、大学と7年間過ごした早稲田にゆかりのある品々は、あえて持って来なかった。

 華々しく、にぎやかなスタートとなった。午前中から集まり始めた熱心なファンに加え、報道陣も31社200人が集結。予定の午後4時より1時間以上早い、午後2時40分に到着して一時は大混乱となった。背番号と同じ18台のテレビカメラが待ち受けて、一挙手一投足は生中継もされた。地元警察は、寮の前にある球場の外周道路をパトカーで巡回。斎藤佑も「今日もこんなにたくさんの方に来ていただいて…。一生懸命がんばる姿を見てもらいたいです」と、もう1度気持ちを引き締めた。

 年末年始を群馬の実家で過ごしたが、体は動かしてきた。「キャンプまで1カ月、ケガをしないように、ゆっくりやっていきたいです。自分の人生として、プロ野球人生として初めての年。一生懸命、開幕1軍へ向けて頑張っていきたいです」。今日12日午前10時、梨田監督ら首脳陣が視察する中、新人合同自主トレが始まる。【本間翼】

 [2011年1月12日9時12分

 紙面から]ソーシャルブックマーク