阪神能見篤史投手(31)が25日ヤクルト戦(神宮)の開幕マウンドを託された。首脳陣が7年目左腕に大役を任命する方針を固めたことが7日、分かった。キャンプから実戦2試合で6回無失点と安定。昨年14勝の久保も候補だったが、このまま順調に調整が進めば生え抜きの左腕で先陣を切り、開幕ダッシュを一気に決める。

 生え抜き左腕で虎の11年シーズンが幕を開ける。開幕戦のマウンドは、昨季チーム最多勝の久保ではなく、能見に託されることになった。6年ぶりの優勝へ向け、プロ7年目を迎える背番号「14」が開幕ダッシュで勢いづける。

 大きな信頼の下で、シーズン通しての活躍を期待される。昨季は5月2日巨人戦(甲子園)で走塁の際に右足甲を骨折。4カ月間の戦線離脱を余儀なくされた。だが、そんな災難がありながら、復帰後は8勝0敗と抜群の安定感を見せた。特に9月9日の復帰以降は、中2~5日で登板し逆転Vのためにフル回転。優勝こそ逃したが、登板ごとに能見への期待と、信頼は高まっていった。

 キャンプでの調整は順調そのものだった。初実戦となった2月20日の紅白戦は2回4安打無失点。オープン戦初登板となった3月2日ソフトバンク戦(ヤフードーム)は本調子ではなかったが、緩急をつけながら小久保、カブレラ、内川ら主力がそろった相手を4回3安打無失点に抑えた。

 チームは開幕からローテーションを先発6人で回す方針だ。能見はヤクルトに対して、通算3勝5敗、防御率5・90と相性は良くない。むしろ、2カード目の中日、4カード目の巨人には10連勝中と好相性。しかし、そんなデータを度外視しても、首脳陣が「開幕投手」に指名する方針を固めるほど左腕に対する期待は大きく、このまま順調に調整が進めば正式通告される。

 投手陣はオープン戦で37イニング連続無失点を記録するなど仕上がりは上々だ。先発ローテ枠6人目の争いは今後佳境に入るが、決め手に欠いた場合、GDキラーの能見が開幕後に中5日で登板する可能性も残されている。

 開幕投手について、能見は以前「去年はローテで投げているわけではないから、どうこう言える立場じゃない」と話していた。だが、キャンプ中には「久保には負けたくない」と発言するなど、ローテの柱としてライバルを意識する言動を取るようになった。投手王国復活を期す11年。自覚が芽生え始めた左のエース格が、看板を背負って立つ。