<オープン戦:巨人2-2阪神>◇14日◇岐阜

 巨人東野峻投手(24)が、開幕投手の当確ランプをともした。地元の茨城県鉾田市が東日本大震災で被災。親族、知人などの安否は確認できたが、震度6強の揺れに襲われ、大きな被害を受けた。複雑な胸中の中での登板だったが、阪神打線を6回2安打無失点に抑え、被災地へ勇気を届ける快投を見せた。

 複雑な気持ちを抑えながら、巨人東野は腕を振った。「いつもは野球のことだけを考えていますが、今はこういう状況。自分の地元も含めて、仙台や多くの地域で家族が見つかっていない人がいる。いろんな思いが入り交じりましたが、自分のやるべきことをやろうと思った」。マウンドに上がった以上、自らの勇姿を見せることが使命だと心に決めた。

 地震発生以降、不安な日々が続いた。地元の鉾田市も震度6強の揺れに襲われ、実家が被災。両親とは連絡が取れず、一夜を過ごした。翌日、両親の安否は確認できたが「実家はグチャグチャみたいです」と声を落としていた。岐阜入りした前夜には「野球どころでは…」との思いもよぎったが、気持ちを落ち着かせた。

 開幕投手を当確させる快投だった。6回を無失点に抑え、許した安打はわずか2本。4イニングを3者凡退で片付け、抜群の安定感を示した。直球、スライダーに加え、カーブ、フォークを有効的に活用。「去年は真っすぐとスライダーだけで、後半しんどかった。今年はカーブを使っていこうと思う中で、今日はうまく使えた」と緩急を自在に操る成長の跡を見せた。原監督は「非常に素晴らしい投球」と最大級の評価を与えた。13日の阪神との合同練習では内海が5回7失点と後退。3度目を狙う内海が有力視されていた開幕レースで、東野が大きく前進した。【久保賢吾】