福島第1原発事故への不安を訴えていた西武の外国人選手4人が17日、球団の許可を得ずに一時帰国してしまった。ブライアン・シコースキー投手(36)ホセ・フェルナンデス内野手(36)アレックス・グラマン投手(33)ディー・ブラウン外野手(32)の4選手で、前日16日の練習には参加していた。延期となった開幕に向けて難しい調整を続けるチームにまた1つ、不安要素が出てきた。

 神宮でヤクルトとの合同練習を行ったチームに4人の姿はなく、前田球団本部長は「家族が心配しているということで今日、アメリカに帰りました」と説明した。球団は観測されている放射線量はまだ身体に影響が出るほどではないことや、開幕日程が決まっていないことを理由にストップをかけていたが、4人は納得せずに無断で帰国。渡辺監督は「球団として途中で抜けるのは了承してないんだけど、自分の意思で帰国した」と戸惑いを見せた。

 異国の地での生活。それに加えて大地震や放射線被害などの不安。他球団や他競技では一時帰国を認めているケースも少なくない。チーム内にも「文化が違うから」と同情的に見る意見はある。折しもこの日、開幕の延期が発表されたが、黙ってチームを離れた事実は変わらない。

 前田本部長は「いつでも連絡は取れるので、開幕には間に合うと思う」と強調するが、一方で渡辺監督は「(開幕までに)戻ってくるかも分からない。今いるメンバーでやるしかない」と、冷静にあらゆる状況を想定していた。【亀山泰宏】