4・12はこの男から目が離せない。昨季リーグMVP、中日和田一浩外野手(38)が12日開幕横浜戦(横浜)で球団史上初の快挙に挑戦する。09年は横浜三浦、10年は広島前田健からと、2年連続で開幕弾を放っている。3年連続なら球団史上初。通算でも西武時代を含め、現役最多となる6本塁打を記録している開幕男だ。

 「たまたまですよ。あんまり気にしたことはないです」。

 これまで開幕戦での好成績を問われると、決まったようにこう答えてきた。各球団のエースが威信をかけて臨む開幕戦で、和田が立ちはだかった歴史は「たまたま」ではない。今回は投手との相性の良さも“3年連続”の期待が膨らむ要因だ。対戦相手である横浜の開幕投手はオリックスから移籍した左腕山本が有力。昨季の対戦はなかったが、西武時代から1本塁打を含む9打数4安打と苦手意識はまったくない。

 「誰が来てもある程度のイメージはできている。(山本は)やってみないと分からないけど、先発に転向してからもやっているので大丈夫」。

 1歩ずつ理想のフォームに近づけている。この日はナゴヤ球場の室内練習場でフリー打撃など、通常メニューを消化。今季からフォームをオープン気味からスクエア(平行)にするなど、試行錯誤が続いている。練習の合間には真剣な表情で落合監督の打撃理論に耳を傾けた。

 「まあ、ボチボチですね。こればっかりはやってみないと分からない。始まってからです」。

 いよいよ始まるシーズン。昨季、リーグ優勝に大きく貢献した男は今年も弱音をはかず、チームのために身を粉にしてプレーする覚悟だ。竜の連覇へ、4番和田のバットが号砲をとどろかせる。【桝井聡】