ソフトバンクがWショックだ。小久保裕紀内野手(39)は13日、右手親指の剥離骨折が判明し、出場登録を抹消された。12日の開幕オリックス戦で死球を受け、精密検査で右手第1末節骨剥離骨折と診断された。戦列復帰までは1カ月がメドになる。主将を欠いたチームはオリックスに移籍した寺原に完封され、開幕2戦で未勝利だ。

 小久保は骨折という最悪のシナリオも覚悟していたに違いない。遠征先の大阪で福岡へ戻る新幹線に乗り込む間際、視線を落とすことなく言った。右手親指は前夜同様に固定器具と包帯で包まれていた。

 「折れていなくても10日間は無理。それくらい痛みが強い。昨日の検査で、はっきり分からないところもある。(復帰まで)1カ月までかからないのでは。親指の外側だから。でも、分からんな。交流戦かな」。

 前日12日に起きた開幕戦の悪夢だった。「年数がこれだけいけば、いつもと全然変わらない。昔は緊張したけどな」と、平常心で臨んだプロ18年目の初戦。試合直前の円陣では、ナインを鼓舞する声掛け役を買って出た。「ムネ(川崎)が自分が行きますって言ったけど、ちょっと待てってね。去年オレがやって優勝したから、そこは験を担ぐぞってね」。初陣に臨むチームの中心にいたのは、2年連続で背番号9だった。だが暗転したのは、4回の第2打席。左肩からヘルメットをかすった死球が右手親指をおそった。

 前夜の大阪市内での検査は打撲と診断されたが骨折の疑いも含まれていた。出場選手登録を外れ、福岡での再度の精密検査に臨んだ。一夜明けたこの日も痛みは治まらなかった。福岡市内の病院でエックス線、CT検査を受けた結果、右手第1末節骨剥離骨折が判明した。

 1日でも早く戦列復帰を目指すハートは折れていない。全治は不明で、当面はバットを握れない日も続くが、まずは5月17日に開幕する交流戦での復帰が照準となりそうだ。グラウンド上のアクシデントが原因だけに、精神的に引きずることも何もない。

 今季目指した144試合フル出場は、開幕2戦目で夢と消えた。王手をかけている通算400号も先延ばし。だが、日本一の目標に揺らぎはない。チームを束ねる主将が、きっと5月戦線に帰ってくる。