<横浜7-1中日>◇14日◇横浜

 3年連続最下位の横浜が、昨年のリーグ王者中日を相手に開幕カードの勝ち越しを決めた。ターメル・スレッジ外野手(34)が前日の3発に続く4号ソロを放つなど、9安打で7点を奪った。投げては5年目の高崎が7回を3安打1失点の好投と、投打がピッタリかみ合った。開幕カードの勝ち越しは00年以来、11年ぶり。最下位からの浮上を目指す尾花ベイが、最高のスタートを切った。

 尾花高夫監督(53)が笑った。真田が最後の打者を右飛に打ち取ると、コーチ陣と笑顔で握手。ファンの声援に応えベンチに戻ると、ガッツポーズが飛び出した。報道陣の前に出てきても笑顔は消えない。11年ぶりとなる開幕カード勝ち越し。8年ぶりの開幕戦勝利に続く、うれしい「ぶり」だった。

 「“ぶり”ばっかりだね」。試合後の尾花監督は、そう言って笑った。13日の試合前「何年連続はやめて、何年ぶりを増やそう」と宣言していた。“連続”では最下位やBクラスが続いてしまう。“ぶり”が多いほど状態がいいというわけだ。

 尾花監督の笑顔は試合前にもあった。中日の先発は左腕の小笠原ら数人が候補に挙がっていたが、横山スコアラーはズバリ「岩田」と読んでいた。メンバー交換から、尾花監督は笑みを浮かべた。中根打撃コーチが言う。「選手は誰が来ても一緒って言っていたけど、気持ちの面では準備が出来ていたところもあるね」。

 効果はてきめんだった。2回にハーパーの1号ソロで先制すると、4回、5回にも加点し岩田をKOした。7回にはスレッジが、前日の3本塁打に続く4号ソロ。3試合で計19得点は現状でリーグトップ。昨年の総得点はリーグ最下位だから、笑顔も当然だろう。

 監督も選手も笑顔が多い今年の横浜だが、単なる笑顔と片付けられない。米村外野守備走塁コーチが説明する。「長いシーズン、常に集中するのは難しい。リラックスする時間を作ってオンとオフを切り替える。そのきっかけの1つが笑いなんだよ」。集中力を高め、持続するため、逆に緩む時間を作る。同コーチは、キャンプ中からダジャレや仕込んだネタを披露しながら、選手を盛り上げてきた。笑顔は今年の横浜にとってキーワードだった。

 まだ開幕から3試合。選手層の薄い横浜が、このまま突っ走れるほどペナントレースは甘くない。だからこそ、チーム一丸となって勝ちを求めていく。必死に食らい付いていけば、秋には心の底から笑っているかもしれない。【佐竹実】