打撃不振に悩む中日ジョエル・グスマン外野手(26)が「丸刈り」で再出発を誓った。全体練習を再開した23日、ナゴヤ球場に現れたグスマンは自慢の後頭部ヘアをばっさりと刈っていた。その理由は「野球に集中したい」。開幕から打率1割6分7厘と低迷。この日も約400スイング振り込んだ。単独最下位からの逆襲への覚悟を頭にこめた。

 不振脱出にかける決意が表れていた。休養日を挟んで全体練習が再開されたこの日、グスマン自慢の後頭部ヘアがきれいさっぱりなくなっていた。日本風の丸刈り。何かを変えたいという切実な思いが伝わってくるようだった。

 「野球に集中したいということ。こういう状況でまだまだ活躍できていない。これから前向きに状態をよくしていきたい」。

 後頭部ヘアはトレードマークだった。初めての沖縄キャンプにはダイヤモンド形にカットしたスタイルで臨み、話題となった。4月15日の本拠地開幕戦では日本復興の願いを込め日の丸の形に刈り込んだ。その時々の自らの気持ちを髪形で表してきた。だが、開幕から5番を任されながら36打数6安打で打率1割6分7厘。18打席連続無安打が続くなどして前カードのヤクルト戦では7番に降格となった。まさに現在の心境はゼロからの出直しだろう。

 グスマンの後頭部ヘアを刈っているブランコは「野球に集中しましょうということ。試合に集中したいから」と日本球界の先輩として語った。意気込みを形で表すことでチーム内外に伝わっていく。グスマンの「丸刈り」はチーム打率1割9分9厘で、単独最下位に沈むオレ竜の起爆剤になるかもしれない。

 外見だけではない。ナゴヤ球場屋内練習場で通常のフリー打撃を終えると、落合監督からインパクトの後に体重が後ろに残り、腰が引けてしまう点などを指摘された。その後は落合監督が現役時代に行っていたノックでの打撃練習を行い、さらにマシン打撃も追加した。およそ70分間で約400スイング。「きょうはいい練習がたくさんできた。これからもっと、いいスイングをしていきたい」。修行僧のような風貌になったグスマンはどん底にいながらも、前を向く姿勢を忘れていない。【鈴木忠平】