<オリックス5-3西武>◇24日◇京セラドーム大阪

 西のユウキはもっとすごい。オリックス西勇輝投手(20)が西武戦で7回1安打無失点。開幕2連勝を飾った。三塁も踏ませない快投に辛口の岡田監督も「満点よ」と満足。チームは今季初のカード勝ち越し。裸で勉強する孝行息子が岡田オリックスをけん引している。

 高校球児のように走ってベンチに駆け戻る西ユウキの姿が、オリックスベンチを明るく照らした。バックの好守備にはマウンドから笑顔で拍手。つられるように先輩たちの顔もほころぶ。高卒3年目の20歳右腕は、波に乗れないチームの救世主のようだ。

 直球の平均は140キロに満たない。それでも大胆に内角を突いたかと思えば、要所でスライダー、フォークを低めに制球する繊細さで西武打線を翻弄(ほんろう)。外角の正確な出し入れもベテラン顔負けだ。

 5回2死から高山に二塁打されたのが唯一のピンチ。顔をキュッと引き締めると、上本にフォークでタイミングをずらし左飛にしとめた。岡田監督も「そら満点よ。ノーヒットなら代えるの悩んだかもな」とホメちぎった。

 1週間前の楽天戦(甲子園)、プロ通算2度目の先発で初勝利を挙げたばかり。0-0の6回にようやく4点の援護をもらい、先輩に感謝した。

 「うれしいの一言です。一言で済ませたくないけど、本当にうれしかった。自分1人で勝ったとは思わない。守備がよくて打線が打って、それでリズムよく投げられた」

 前夜、女房役の22歳伊藤と合宿所の風呂場で即席ミーティング。初戦でマスクをかぶっていた兄貴分から打者の特長や対策を聞きながら、素っ裸で30分間、西武を“丸裸”にした。寮で暮らす若いコンビならではの密な関係が試合に生きた。マウンドでぶつぶつ独り言を言っているのは、頭にたたき込んだものを忘れないためだ。

 エース金子千が不在のなか、ローテーションでは抜き出た安定感を誇る。チームは西武に2勝1敗で今季初のカード勝ち越し。「2連勝できたので、このまま流れに乗れるように頑張りたい」。元気よく躍進を誓った。【柏原誠】