デビュー2連勝を飾った日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22)が、球団史上初の快挙に挑む。25日、前夜の楽天戦で登板した神戸から本拠地北海道へと移動した。次回登板予定の5月1日西武戦(札幌ドーム)では球団初の新人での先発3戦3勝が懸かる。「勝つことが目標」と力強く言い切った。

 新人の先発3戦3勝は、日本ハムではまだ成し遂げられていない。大黒柱のダルビッシュも、ルーキーイヤーの05年はデビュー2連勝で止まった。球団史をひもとくと、東映時代の62年、高校中退でプロ入りし、その年に20勝を挙げた「怪童」尾崎行雄が新人での3戦3勝を記録した。だが、尾崎の3勝は救援でのもの。先発投手では、1人の名前も記されていない。

 歴史を伝え聞いた斎藤は「そうなんですか?

 尾崎さん…知りません」。22歳の若者はそう言って記録の偉大さをかみしめた。「今は打線の援護で、運がいい投球が続いています。周りから見ても『しっかり投げきっている』という試合ができれば。勝つことが目標です」と、5月1日西武戦での快挙達成を見据えた。

 そのための課題は不用意な1球をなくすことだ。デビュー戦の17日ロッテ戦では井口に先制弾、前日24日の楽天戦でもリードをもらった直後に山崎、ルイーズに柵越えを許した。「(被弾は)失投という部分が大きいです。それをなくしたいなと思います」と反省した。

 投げたイニングは初戦は5回、2戦目は6回と伸びている。そしてこの日、何度も口にしてきた言葉をはっきりと言った。「完投したいですね。(体力的には)いけると思います。試合をつくるには最少失点でいくこと」。大記録を初完投で飾る-。そんな出来すぎたストーリーも、斎藤ならサラリとやってのけてしまうかもしれない。【本間翼】