25日に行われた東京6大学野球の慶大-法大戦で、慶大主将で4番の伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)が、1回無死満塁から先制の2点二塁打を放ち、3回には今季3号となる2ランを放つなど4安打4打点と活躍。この日、阪神の今秋ドラフト1位の本命に浮上していることが分かった。

 伊藤は阪神の将来の4番候補にふさわしい逸材だ。「アマ球界の中でも抜けた存在。今のうちに最も必要なタイプの選手だ」。球団関係者も高く評価する。

 フレッシュな長距離砲の獲得は補強戦略の中でも最優先の課題。左翼を守る金本は今年で43歳。1番マートンは来季はメジャー復帰の可能性もある。中堅のレギュラー俊介の他にも、柴田や田上ら若手野手はいるが、俊足巧打タイプが多い。次代をにらみ、伊藤の評価が上がるのも当然だ。

 球団内では当初、本格派投手の1位指名も検討したが、ルーキー榎田の活躍など若返りに見通しが立った。真弓監督も自ら出席した1月のスカウト会議では「将来の大砲候補を獲得してほしい」と要望した。03年入団の鳥谷以来、阪神のドラフト戦略は即戦力投手の指名が中心だが、今回は方向転換が濃厚だ。

 伊藤のほか、野手では東海大甲府の大型遊撃手・高橋周平内野手(3年)が高校生でトップクラスの評価。投手では明大・野村祐輔投手(4年=広陵)、東海大・菅野と東洋大・藤岡貴裕投手(4年=桐生一)をチェック。1位候補の動向を慎重にマークし、秋のドラフト会議直前に最終決定の流れとなる。