<日本ハム3-1巨人>◇20日◇札幌ドーム

 交流戦男の面目躍如だ!

 日本ハムの来日2年目、ボビー・ケッペル投手(28)が、20日の巨人戦(札幌ドーム)で8回を4安打無失点に抑え、4勝目を挙げた。24のアウトのうち実に内野ゴロは17。微妙にボールを動かす投球で手玉に取り、ゴロの山を築いた。これで交流戦は昨年から負けなしの5連勝。ケッペルの活躍でチームの貯金は、今季最多の8となった。

 交流戦では負けない。ケッペルが8回を4安打無失点で、開幕から負けなしの4連勝。交流戦に限れば、昨季から負けなしの5連勝という数字を誇る。豪快に三振を奪うわけではない。立ち上がりから、淡々と重ねたゴロアウトは17。ツーシームでバットの芯を外し、ゴロを打たせるのが真骨頂だ。

 一発のあるラミレス、阿部、長野の中軸を完璧に封じ、決して長打を許さなかった。バックも攻守でもり立てた。「積極的に打たせて野手に守ってもらったのが良かった。今までプレーしてきたどのチームよりも、良い選手がそろっている」。お世辞ではなく、本音だった。

 礼儀正しく紳士的で、子ども思い。そんな右腕は、お立ち台で真っ先に「先日訪問した北大病院の子どもたちに、この1勝をささげたい」と優しさあふれる言葉を、重い病気と闘う子どもたちに贈った。「健康な体で生きていけることが幸せなことだと思った」。

 2児の父で、妻のおなかには3人目の命が宿っている。それだけに、健康の尊さをあらためて痛感した。観戦に訪れていた3歳と2歳の姉妹を大切そうに抱きしめた後、「自分が与えたものより、与えられたもののほうが大きかった」と院内学級で出会った子どもたちに感謝した。

 責任感も人一倍強い。昨季、夏場以降に成績が失速したことを反省し、オフには米大リーグ時代に親交のある、ばりばりのメジャーリーガーたちとの自主トレを敢行した。05年サイ・ヤング賞のクリス・カーペンターとともに汗を流し、ロッキーズ時代の07年に首位打者と打点王の2冠に輝いているマット・ホリデーの打撃投手を務めるなど、絶えず投手としての感覚を失わないよう努力してきた。

 妻の出産準備のため、家族は24日に帰国する。「(家族の観戦は)この試合が最後。次に会う時は、優勝して会えたら」。チームは札幌ドームでの巨人戦連勝を6に延ばし、首位ソフトバンクの背中をぴたりと追っている。背番号31は願う。家族と再会する日、チャンピオンの称号を携えていることを。【中島宙恵】