<広島2-0中日>◇26日◇マツダスタジアム

 広島の不惑コンビが燃えた。0-0の8回2死一、三塁。14日に40歳を迎えた前田智徳外野手の代打登場に、球場の熱気は最高潮に達した。中日のセットアッパー浅尾の141キロ内角低めをさばき右前に適時打。欲しかった1点を今季4本目、通算2092安打目で呼び込んだ。

 3回に野村謙二郎監督(44)が判定をめぐって、ベンチを飛び出し、一塁塁審の胸をつく暴力行為で退場。指揮官の熱い思いは、ベテランにも伝わっていた。

 前田智

 (野村監督の激怒は)選手時代も含めて初めてなんでね。明らかなミスジャッジ。あそこまで明らかだとベンチ全体の呼吸が合う。一振りで決められて良かった。

 続く代打石井琢朗内野手(40)も、初球を中前に運ぶ適時打で通算2412安打。8月25日に41歳の大ベテランはお立ち台で「いつ現役をやめてもいいが、カープの優勝を見届ける」と断言。「『お前らもこれくらいせいよ!』との監督のメッセージだと捉えた。おとこ気で負けられない」と、バットを振った。

 合わせて「4504」安打の前田智&石井の名球会コンビが、チームの思いを体現して中日に勝ち越し。監督代行の高守備走塁コーチも「選手は個々に感じただろう。落とせない試合だった」と興奮ぎみだった。【佐藤貴洋】