<オリックス3-4ソフトバンク>◇3日◇京セラドーム大阪

 左腕最速ダ!

 ソフトバンク和田毅投手(30)が、通算100勝を達成した。オリックス打線を相手に7回8安打3失点。通算200試合目での達成は歴代8位のペースで、左腕では同僚杉内を抜き最速。歴史に名を刻んだNO・1サウスポーが、8年ぶりの日本一までチームを引っ張る。

 派手なガッツポーズはなかった。和田がアイシングを施している左手で、ウイニングボールを握りしめた。祝福に来たナイン1人1人と笑顔でハイタッチ。100勝目をプレゼントしてくれた仲間に心から感謝の気持ちを示した。

 和田

 味方が必死になって点を返してくれたので必死になって投げた。このような投球の中で勝てたことに本当に感謝しています。

 これまで積み重ねてきた白星と同じく、節目の1勝も根気でつかんだ。初回にまさかの4連打などで3失点。だが、ここからが真骨頂だった。本調子でないとみるや、2回以降は普段以上に低めへの制球を心がけた。味方の逆転を信じ、丁寧に丁寧に低めへ投げ続けた。2回以降は7回まで散発3安打。味方の逆転も必然だった。

 ライバルの存在が、快挙につながった。先月、同い年の杉内が100勝を達成。今季は3度目の開幕投手を務めたが、開幕が延期されていなれば杉内が務めていた。「そこを狙う気持ちがなくなったら終わり」と開幕投手には人一倍こだわりを持っており、悔しくないはずはなかった。左腕では歴代最速の通算200試合での大台到達は、入団から続けてきた切磋琢磨(せっさたくま)と、負けん気のたまものだった。

 和田

 1年目から調子の良くない時でも使い続けてくれた王会長と秋山監督のおかげだと思っている。

 歴史に名を刻むまでに自分を育ててくれたチームへの恩返しも忘れていない。オフには大場と柳川を自主トレに帯同。私生活から甘さが目立っていた大場を容赦なく叱り、柳川には「お前はそのままでいいのか」と厳しい言葉をかけフォーム変更の決断をさせた。大場は今季、3年ぶりの先発勝利。柳川は育成枠から支配下登録され1軍入りを果たすなど、白星以外でもチームに貢献している。

 チームは対オリックスの連敗を5で止め日本ハムとのゲーム差を今季最大の4・5とした。NO・1サウスポーはまだまだ白星を重ね、8年ぶりの日本一までチームを引っ張る。【倉成孝史】