<中日0-2横浜>◇7日◇ナゴヤドーム

 打球がライナーで中前に抜けると、横浜中村紀洋内野手(38)は一塁ベースで両手を高々と上げた。土壇場の9回1死二、三塁。河原のカットボールを鋭いスイングではじき返し、均衡を破った。代打で試合を決めた2点適時打に、「これからベイスターズが変わる勝ちだったんじゃないかと思う」と胸を張った。

 7月5日広島戦以来の安打だった。ベンチを温める日が続いても「出る時は結果が問われる」と黙々と準備を重ねた。早出特打も行い、試合前のシートノックではキャッチャーミットを手に捕手役も務める。現在、捕手は2人体制。万が一の際へのアピールでもある。全ては「試合に出たい」という思いからだった。

 この日は尾花高夫監督の54回目の誕生日。「おめでとうございます」と祝福しながらハイタッチした。「負けるより勝った方がうれしいでしょうし、いいプレゼントが出来たかなと思います」と言えば、指揮官も「こんなええ勝ち方はない。何よりもええプレゼントになりましたわ」と満面の笑みで喜んだ。

 中村と同じプロ20年目の三浦大輔投手(37)が「最高の投球」(尾花監督)という好投で7回を無失点。ベテランコンビの活躍が最高のバースデーを演出し、チームに10カードぶりの勝ち越しをもたらした。【佐竹実】