阪神が、10月27日に行われるドラフト会議で慶大・伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)を1位指名することが20日、決定的となった。野手の若返りに向けて徹底マークしてきたが、南信男球団社長(56)が自ら視察を検討していることも判明。チームを挙げて大型野手獲得に向かう。

 阪神が、伊藤をドラフト1位指名することが決定的となった。なんと南球団社長が直接視察を検討していることも判明。異例の事実が虎の本気度を示している。南球団社長は「恋人」について、こう口にした。

 南球団社長

 1度、見にいきたいと思っている。練習場もよく知っているしね。

 多忙を極める球団社長がドラフト候補の視察を検討することは非常にまれ。スケジュールの都合があえば、東京6大学野球のリーグ戦、もしくは慶大の練習場に足を運んで、伊藤の動きを自分の目で確かめるプランを温めている。社長自身も慶大出身だけに練習場を訪れることも十分ありえる。

 球団は、野手の若返りをドラフト戦略として掲げている。2年契約の最終年を迎えたマートンは米メジャーリーグ復帰も含めて、その去就が流動的になっている。さらに43歳の金本も今季は右肩痛に苦しんできた。今年1月のスカウト会議に出席した真弓監督は「将来の大砲候補を獲得してほしい」と要望を出している。球団側も伊藤を、クリーンアップを任せることができる左の長距離砲として、徹底マークを続けていた。

 伊藤は、19日に所属の東京6大学野球連盟にプロ志望届を提出した。大安吉日の提出に「ついに志望届を出す時期が来たんだな、という感じです。優勝目指して頑張れば、進路に対しての結果もついてくる」と話している。

 球団は、ドラフト会議直前のスカウト会議で指名順を最終決定することになる。もちろん思わぬ負傷などのアクシデントに備えて、伊藤以外の有力選手も継続して調査していく。野手では伊藤と同じ左のスラッガー、東海大甲府の高橋周平内野手(3年)ら、また投手では東洋大の藤岡貴裕投手(4年=桐生一)らを、1位指名候補とし、マークは続けていく。ただ、よほどのことがなければ、伊藤の1位指名は決定的だ。

 ◆伊藤隼太(いとう・はやた)1989年(平元)5月8日、愛知・瀬戸市生まれ。小1で硬式野球を始める。中京大中京では高校通算29本塁打。甲子園出場はなし。慶大では2年春からレギュラーで、同秋から4番。昨夏の世界大学選手権は、日本代表の4番で3本塁打。広州アジア大会も大学生で唯一日本代表入り。178センチ、84キロ。右投げ左打ち。

 ◆阪神のドラフト戦略

 野手の若返りを目標に掲げている。1位指名は、将来の主軸と期待する左のスラッガー慶大・伊藤が決定的。同大・小林誠二捕手(4年=広陵)は8月30日に鳴尾浜での交流戦で鄭凱文から本塁打を放ち、高く評価している。高校生では193センチの長身を武器にする英明の左腕・松本竜也投手(3年)、聖光学院の右腕・歳内宏明投手(3年)をリストアップ。高校通算55本塁打の東大阪大柏原・石川慎吾外野手(3年)もマークしている。ドラフトは投手中心の指名が常識だが、他球団の動向次第で、野手を多く獲得する可能性もある。