元西武1軍打撃コーチの大久保博元氏(44)が、来季から指導者として球界復帰する可能性が高いことが3日、分かった。同氏のもとには、複数球団から打撃を含めた攻撃担当としてのコーチ招聘(しょうへい)の打診があり、その中に楽天が含まれているという。現在、10年シーズン途中に解雇された西武球団を相手取り係争中だが、現場復帰へ向け、訴訟取り下げの意向を持っているという。就任を果たせば星野楽天2年目に向けたチーム改革の目玉となる。

 「デーブ復帰」が濃厚となった。大久保氏は現在、西武球団を相手に契約解除の無効、未払い報酬の支払い、名誉毀損(きそん)に対する損害賠償を求めて係争している。だが、近い関係者の話を総合すると、同氏は昨年からの問題に1つの区切りをつけ、新たなスタートを切りたい意向を強く持っている。招聘を検討する各球団は慎重に周辺調査を重ね、今オフからの現場復帰に向け障害がないと判断。指導に専念できるとの見方をしている模様だ。

 楽天は今季シーズン終了を受け、正式オファーを出すとみられる。同氏が西武に対して起こした訴訟は、コーチ業の地位保全が目的である以上、コーチ就任要請を受けた場合は受諾する可能性が極めて高い。

 指導者としての資質は業界内で極めて高く評価されている。08年、西武1軍打撃コーチに就任。アイデアと練習量を両立させた独自のスタイルを確立し、中村はじめ伸び盛りの選手を次々と開花させた。09年には編成部プロ担当として、各球団のデータ集積、分析に優れた才能を発揮した。

 日中のファーム戦から精力的に足を運び、精密な投球チャートを手書き作成。絞り球などの指示に明確な根拠を添え、攻撃力向上に大きく寄与した。現役時代からの愛称「デーブ」そのままに、あふれる情熱で選手を鼓舞するスタイルもおなじみだ。打線強化を課題とするチームが白羽の矢を立てるには、うってつけの存在だった。

 3日現在、楽天のチーム打率2割4分2厘はリーグ最下位。本塁打53本は5位。好機で1本が出ず、苦しみ続けた。卓越した理論、分析力、闘争心。デーブ就任が実現すれば、星野楽天の“泣きどころ”に最高のテコ入れとなる。