<中日5-3広島>◇6日◇ナゴヤドーム

 5連勝で5月30日以来となる首位に返り咲いた中日が、またまた異例の退団発表だ。森繁和ヘッドコーチ(56)ら9人のコーチと来季の契約を結ばないと発表した。全員が今季限りで退任する落合博満監督(57)の就任後に招聘(しょうへい)されたコーチ陣。4日には石嶺和彦打撃コーチ(50)と高木宣宏投手コーチ(48)にも通告済み。OBの高木守道氏(70)を監督に迎える来季に向け落合色の一掃ともいえる人事だが、計11人もの大量退団という異例の事態となった。

 首位に浮上した中日が、9人ものコーチ陣に来季契約を結ばないことを通達したと発表した。ヒーローになったネルソンと荒木が取材を受けた直後のインタビュー室。入れ替わるように、坂井克彦球団社長が姿を見せ、広報部が出した1枚のリリースについて「紙の通り今日6日、9人のコーチに来季契約を結ばないとご連絡いたしました」と説明した。

 森ヘッドコーチを筆頭に辻総合コーチ、田村バッテリーコーチ、笘篠外野守備走塁コーチとほとんどが現在1軍ベンチに入って戦うコーチ陣。4日に同様の通告を受けた石嶺打撃コーチ、高木投手コーチも含め、これで落合監督とともに退団する首脳陣は11人に膨れあがった。

 22人ものコーチを抱えるが、その半数が事実上の解雇。いずれも落合監督の就任後に中日にやって来た面々だ。奈良原野手コーチは現役最後の1年だけ中日でプレーしたが、発表された11人は実質的に全員が“外様”。OB会長でもある高木氏を新監督に迎えるにあたり、落合色を一掃する人事だ。森ヘッドコーチは「コメントはない。分かっていたことだろ?

 監督がやめるんだから」とだけ口にした。

 高木氏は就任発表後、組閣について「私には人脈がないのでOBしか知らないんです」とOB路線を明言している。その発言に沿った動き。坂井社長はすでに通告した11人以外のコーチ陣とは来季の契約を更新する方向であると明かした。首位に立ったこの日の発表、それも試合後のタイミングは、異例中の異例。同社長は「4日の発表後、他のコーチ陣から早めに知りたいという要望があった。明日きちんと発表するつもりでしたが、一部に伝わって不正確な報道がされるよりはいいので」と説明した。